
こんな人におすすめ
- 神戸・大阪に泊まり、電車で行ける酒蔵の施設を探している人(最寄り駅から歩いて行けます)
- 実際に使われていた酒蔵の建物と道具で、昔の日本酒づくりを見てみたい人
- 蔵の直営店で試飲してから、日本酒を選びたい人
- 酒米(sake rice、日本酒づくりに向く米)の品種開発に興味がある人
白鶴酒造について
白鶴酒造(Hakutsuru Shuzo)は、兵庫県神戸市東灘区(Higashinada, Kobe)に本社を置く酒造会社です。銘柄は「白鶴(Hakutsuru)」で、会社名と同じ名前を使っています。
1743年に材木屋治兵衛が酒造業を始め、1747年に「白鶴」という銘柄名が付けられました。本社があるのは、灘五郷(Nada Gogo)と呼ばれる5つの酒造地区のうちの御影郷(Mikage-go)です。
白鶴酒造の歩みは、神戸という町の出来事と重なっています。1945年の戦災では酒造蔵の9割を失い、1995年の阪神・淡路大震災では資料館と木造の蔵が被災しました。旅行者が訪ねられる「白鶴酒造資料館」は、この震災から2年後の1997年に、改めて開館しました。
灘という土地
灘(Nada)は、兵庫県神戸市灘区から西宮市(Nishinomiya)にかけての海沿いの地域です。五郷とは、西郷・御影郷・魚崎郷・西宮郷・今津郷の5つの地区を指します。
灘が日本酒の産地として育った条件は、いくつかあります。冬には六甲山(Mt. Rokko)から瀬戸内海へ向かって「六甲おろし(Rokko oroshi)」という冷たい風が吹くため、蒸した米を冷ます作業がしやすくなりました。米では、兵庫県産の酒米「山田錦(Yamada Nishiki)」があります。人では、兵庫県の丹波(Tamba)地方から灘の蔵へ、多くの杜氏(toji、日本酒づくりの責任者)が働きに来ていました。できた日本酒は「樽廻船(taru kaisen)」という帆船に積まれ、江戸(いまの東京)をはじめ各地へ運ばれました。水は、六甲山系の伏流水です。
これらは灘という地域についての説明です。白鶴酒造が個々の商品でどの水・どの米を使っているかは、商品ごとに違います。
灘五郷の名前は、2018年6月28日に国税庁長官から酒類の地理的表示(GI、産地名を守る制度)の指定を受けています。「GI 灘五郷」と表示できるのは、定められた生産基準を満たし、審査を経た清酒です。
手造りと機械造り、そして自社で育てた酒米
白鶴酒造は、機械による日本酒づくりと、人の手による日本酒づくりの両方を続けています。
機械造りでは、工程ごとにデータを取り、香りや酸まで成分として分析して発酵を管理しています。一方で「天空(Tenku)」をはじめとする一部の商品は、すべての工程を手作業で造っています。たとえば米麹(rice koji、蒸した米に麹菌を育てたもの)は、機械造りでは温度と湿度をコンピュータで制御する装置でつくり、手造りでは「麹蓋(koji-buta)」という小さな箱に小分けしてつくります。搾りも、機械造りでは圧搾機を使い、手造りではもろみ(発酵中の日本酒のもと)を袋に入れて吊るし、自然に落ちる滴だけを集める「袋吊り(fukurozuri)」を行っています。
白鶴酒造には自社で開発した酒米もあります。「白鶴錦(Hakutsuru Nishiki)」です。1995年、山田錦の母にあたる品種「山田穂」と、父の近縁種「渡船2号」を交配して開発を始め、2007年に品種登録されました。2015年には農業法人「白鶴ファーム株式会社」を設立し、兵庫県丹波篠山市(Tamba-Sasayama)で白鶴錦を育てています。2012年からは、ほかの蔵にも白鶴錦を供給しています。
この白鶴錦だけでつくる商品のひとつが「白鶴 翔雲(Shoun)純米大吟醸 自社栽培白鶴錦」です。米と米麹と水だけでつくり、米の外側を半分以上削った「純米大吟醸(junmai daiginjo)」です。
酒蔵の案内
旅行者が見学できるのは「白鶴酒造資料館(Hakutsuru Sake Brewery Museum)」です。大正時代の初めに建てられ、1969年3月まで実際に日本酒を造っていた「本店壱号蔵」を、1982年に資料館として開きました。いま稼働している醸造設備を見学する施設ではありません。
館内では、米を洗う工程から樽に詰める工程まで、昔の日本酒づくりを等身大の人形と実際の道具で順に再現し、工程ごとの動画でも説明しています。1階には試飲ができる「きき酒コーナー」と、資料館だけの限定商品を扱う売店があります。展示の終わり近くでは、昔の酒屋の店員の仕事着を試着して写真を撮ることができます。
| 白鶴酒造資料館(2026年9月30日確認) | |
|---|---|
| 開館時間 | 9:30〜16:30(入館は16:00まで) |
| 休館日 | 年末年始(12月末〜1月初め)。そのほかの休館日は公式ページでご確認ください |
| 入館料 | 無料(ガイドのつかない自由見学) |
| 予約 | 10名未満は不要。10名以上はオンライン予約が必要です |
| きき酒 | 1階のきき酒コーナー。料金は公表されていません |
| 外国語 | 公式サイトに英語・中国語・韓国語の資料館案内のページがあります。英語のガイドやスタッフの対応は公表されていません |
| 電話 | 078-822-8907 |
本社の敷地内では新しい醸造蔵の建設工事が行われており、資料館の駐車場の一部が使えません(2026年9月30日確認)。車で行く場合は、飲酒運転にならないようご注意ください。
白鶴酒造は本社で「酒蔵開放」という入場無料の催しを開くことがあります。2026年は5月23日に開催が予定されていました。次の日程は公式の告知でご確認ください。
行き方
- 阪神電車(Hanshin Railway):阪神本線「住吉(Sumiyoshi)」駅から歩いて約5分です。阪神本線は大阪梅田駅と神戸三宮駅を結ぶ路線で、住吉駅はその途中にあります
- JR:JR「住吉」駅から歩いて約15分です
住吉駅に停まる列車と時刻は、阪神電車の公式サイトでご確認ください。
営業日や見学の受け入れは変わることがあります。訪ねる前に蔵の公式情報をご確認ください。
白鶴酒造のお酒の買い方
直営の売り場は、資料館の売店のほかに次の2つです(2026年9月30日確認)。
白鶴御影MUSE(Hakutsuru Mikage MUSE)は、白鶴酒造直営のアンテナショップです。特定名称などの種類別に日本酒が並び、無料で試飲できるコーナーと、季節ごとの有料試飲があります。300mlの小さな瓶もそろえています。
| 所在地 | 神戸市東灘区御影中町3-2-1 |
| 営業時間 | 10:00〜21:00(不定休) |
| 最寄り駅 | 阪神本線「御影(Mikage)」駅の北側から歩いて1分 |
| 電話 | 078-891-8901 |
白鶴オンラインショップは蔵の公式通販です。ただし、お届け先は日本国内に限られ、発送は注文から1週間前後かかります。クレジットカードは日本国内で契約したものに限られています。短い滞在中に受け取るのは難しいことがあるため、利用案内をよく読んでからお使いください。
- 海外へ持ち帰る場合:100mlを超える瓶は、保安検査前の手荷物には入れられません。預け入れ荷物にするか、保安検査後の免税店でお求めください。乗り継ぎがある場合と、到着する国の持ち込み上限は事前にご確認ください。→ 旅のヒント
酒蔵情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 社名 | 白鶴酒造株式会社(HAKUTSURU SAKE BREWING CO.,LTD.) |
| 創業 | 1743年(寛保3年) |
| 代表者 | 代表取締役社長 嘉納健二 |
| 所在地 | 〒658-0041 兵庫県神戸市東灘区住吉南町4丁目5番5号 Google マップで開く |
| 電話 | 078-822-8901(本社)/078-822-8907(白鶴酒造資料館) |
| 代表銘柄 | 上撰 白鶴、白鶴 翔雲 |
| 公式サイト | https://www.hakutsuru.co.jp/ |
| 見学施設 | 白鶴酒造資料館(入館無料。10名未満は予約不要) |
| 直営の売店 | 白鶴酒造資料館の売店/白鶴御影MUSE/白鶴オンラインショップ(日本国内への配送のみ) |