コンテンツへスキップ

菊正宗 — 神戸・灘で、昔ながらの生酛造りと辛口を守る蔵

  • Sake JP 編集部
神戸市東灘区魚崎西町の菊正宗酒造記念館を道路の向かいから見た外観。白壁と焼杉板の蔵造りの建物に瓦葺きの門があり、門の脇に菰樽が積まれている。背後にはマンションが建つ
神戸市東灘区魚崎西町にある菊正宗酒造記念館の外観です。桂鷺淵 / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons

こんな人におすすめ

  • 神戸や大阪から、電車で行ける酒蔵の資料館を訪ねたい人
  • 甘さの残らない日本酒を、食事と合わせて飲みたい人
  • 昔の日本酒づくりの道具や、手間のかかる造り方の歴史に興味がある人
  • 杉の樽で香りを付けた日本酒「樽酒(taruzake)」を試してみたい人

菊正宗酒造について

菊正宗酒造(Kiku-Masamune Shuzo、銘柄「菊正宗」)は、兵庫県神戸市東灘区(Higashinada, Kobe)の酒蔵です。始まりは万治2年(1659年)です。材木商だった嘉納治郎太夫宗徳(Kano Jirodayu Munenori)が、神戸・御影(Mikage)の自宅の敷地に酒蔵を建てました。

灘(Nada)の日本酒は18世紀末、江戸(いまの東京)へ送られて人気を集めました。灘五郷(Nada Gogo)は西郷・御影郷・魚崎郷・西宮郷・今津郷の5つの地域からなり、菊正宗は御影郷の蔵です。

1945年の空襲で、蔵は大部分を焼失しました。1995年の阪神・淡路大震災では酒造記念館が倒壊し、1999年に建て直されています。

甘さを残さない「辛口」

菊正宗は、自分たちの日本酒を「本流辛口」と呼んでいます。日本酒の「辛口(karakuchi)」は、唐辛子のような辛さや塩辛さではなく、甘さが少ないことを指します。

菊正宗が目指してきたのは、そば・刺身・寿司のような料理と一緒に飲み続けられる辛口です。

生酛造りと、水と米

手間のかかる「生酛」

日本酒は、酵母を大量に育てた「酒母(shubo)」をもとに発酵させます。菊正宗が続けているのは、この酒母を昔のやり方でつくる「生酛(kimoto)」です。

生酛は、水と米と米麹から、手作業でおよそ4週間かけて酒母をつくる方法です。多くの蔵は、市販の乳酸を加えて2週間あまりでつくる「速醸酛(sokujo-moto)」を使っています。菊正宗は1958年に、冬の寒い時期だけ動く「嘉宝蔵(Kaho-gura)」を建て、この造り方を続けてきました。嘉宝蔵では、蔵人(kurabito、酒造りの職人)が桶に入って材料を足で踏む「酛ふみ」を、酛づくりの工程として行っています。

生酛は上位の限定酒で続けてきた造り方ですが、定番の「上撰 本醸造」も生酛造りに切り替えました。本醸造とは、米の外側を3割以上削り、少量の醸造アルコールを加えた日本酒です。

西宮の水と、三木の田んぼ

菊正宗は、日本酒づくりに「宮水(Miyamizu)」を使っています。宮水は、西宮(Nishinomiya)のごく限られた範囲に湧く地下水で、菊正宗はその一帯で井戸を管理しています。

米については、明治24年(1891年)に兵庫県三木市(Miki)の吉川町・口吉川町の農家と酒米の契約栽培を始めました。この農家のグループは「嘉納会(Kano-kai)」と呼ばれ、いまも米を届けています。

酒蔵の案内

菊正宗酒造記念館(Kiku-Masamune Sake Brewery Museum)は、予約なしで無料で見学できます(10名未満の場合)。仕込みを行う蔵そのものではなく、酒造りの道具を展示する資料館です。以下は2026年9月30日に確認した内容です。

開館時間 9:30〜16:30(入館は16:00まで)
休館日 火曜日(祝日の場合は開館し、翌水曜日が休館)、年末年始(2026年は12月30日〜2027年1月4日)。2026年4月から火曜日が休館日になりました
入館料 無料
予約 10名未満は不要。10名以上は予約サイトから、40名以上は記念館へ電話
電話 078-854-1029

見られるもの。展示室の酒造りの道具は、ほぼすべてが国の重要有形民俗文化財に指定されています。

試飲。館内の「きき酒コーナー」で、火入れ(加熱処理)をせず、水も加えていない「生原酒(nama genshu)」や季節の日本酒を試飲できます。試飲をするなら、車やバイクを運転して来ないでください。

予約制の見学(無料)。記念館から案内される施設が2つあります。どちらも各回15名までで、団体は受け付けていません。

  • 樽酒マイスターファクトリー:蔵の樽酒に使う樽をつくる工房です。10:30/13:30/14:30、約30分。見学日の2日前までに予約が必要です。土日祝日は樽づくりの作業がなく、映像での紹介になります。小学生以下は入場できません
  • 盃展示館(sakazuki、日本酒を飲む小さな器の展示館):記念館から徒歩2分です。11:10/14:10/15:10、約30分

英語。記念館の公式サイトには、英語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語のページがあります。ただし、樽酒マイスターファクトリーと盃展示館の案内は日本語のみです。

アクセス

所在地は神戸市東灘区魚崎西町1-9-1です。

  • JR:住吉(Sumiyoshi)駅で六甲ライナーに乗り換え、2駅目の南魚崎(Minami-Uozaki)駅から北西へ徒歩2分です
  • 阪神電車:魚崎(Uozaki)駅から、住吉川沿いの遊歩道を南へ徒歩10分です
  • 乗車時間の目安(乗り換えを除く、2026年9月時点):JR大阪駅〜住吉駅 約30分、JR三ノ宮駅〜住吉駅 約8分、阪神梅田駅〜魚崎駅 約35分、阪神三宮駅〜魚崎駅 約10分

時刻と運賃は、JR西日本・阪神電車・六甲ライナー(神戸新交通)の公式サイトでご確認ください。同じ東灘区には、白鶴酒造など見学施設を持つ蔵がほかにもあります。

営業日や見学の受け入れは変わることがあります。訪ねる前に蔵の公式情報をご確認ください。

菊正宗酒造のお酒の買い方

記念館の売店。記念館では、限定の日本酒やオリジナルグッズを販売しています。記念館限定の商品には、米と米麹と水だけでつくり、米の外側を4割以上削って低温でゆっくり発酵させた「菊正宗 奉献 純米吟醸」があります(2026年9月30日確認)。品ぞろえは変わることがあります。

公式オンラインストア。「菊正宗ネットショップ」と、楽天市場の公式店があります。

  • 海外へ持ち帰る場合:100mlを超える瓶は、保安検査前の手荷物には入れられません。預け入れ荷物にするか、保安検査後の免税店でお求めください。乗り継ぎがある場合と、到着する国の持ち込み上限は事前にご確認ください。→ 旅のヒント

酒蔵情報

項目 内容
社名 菊正宗酒造株式会社(Kiku-Masamune Sake Brewing Co., Ltd.)
創業 万治2年(1659年)
代表者 代表取締役社長 嘉納治郎右衞門
所在地 本社 〒658-0046 兵庫県神戸市東灘区御影本町1-7-15 Google マップで開く
電話 078-851-0001(本社)
代表銘柄 菊正宗、百黙(Hyakumoku)
公式サイト https://www.kikumasamune.co.jp/ (英語 https://www.kikumasamune.com/ )
見学施設 あり(菊正宗酒造記念館。入館無料・10名未満は予約不要)
直営の売店 記念館の売店、公式オンラインストア(菊正宗ネットショップ)