
こんな人におすすめ
- 神戸や大阪から、電車で行ける酒蔵の資料館を訪ねたい人
- 甘さの残らない日本酒を、食事と合わせて飲みたい人
- 昔の日本酒づくりの道具や、手間のかかる造り方の歴史に興味がある人
- 杉の樽で香りを付けた日本酒「樽酒(taruzake)」を試してみたい人
菊正宗酒造について
菊正宗酒造(Kiku-Masamune Shuzo、銘柄「菊正宗」)は、兵庫県神戸市東灘区(Higashinada, Kobe)の酒蔵です。始まりは万治2年(1659年)です。材木商だった嘉納治郎太夫宗徳(Kano Jirodayu Munenori)が、神戸・御影(Mikage)の自宅の敷地に酒蔵を建てました。
灘(Nada)の日本酒は18世紀末、江戸(いまの東京)へ送られて人気を集めました。灘五郷(Nada Gogo)は西郷・御影郷・魚崎郷・西宮郷・今津郷の5つの地域からなり、菊正宗は御影郷の蔵です。
1945年の空襲で、蔵は大部分を焼失しました。1995年の阪神・淡路大震災では酒造記念館が倒壊し、1999年に建て直されています。
甘さを残さない「辛口」
菊正宗は、自分たちの日本酒を「本流辛口」と呼んでいます。日本酒の「辛口(karakuchi)」は、唐辛子のような辛さや塩辛さではなく、甘さが少ないことを指します。
菊正宗が目指してきたのは、そば・刺身・寿司のような料理と一緒に飲み続けられる辛口です。
生酛造りと、水と米
手間のかかる「生酛」
日本酒は、酵母を大量に育てた「酒母(shubo)」をもとに発酵させます。菊正宗が続けているのは、この酒母を昔のやり方でつくる「生酛(kimoto)」です。
生酛は、水と米と米麹から、手作業でおよそ4週間かけて酒母をつくる方法です。多くの蔵は、市販の乳酸を加えて2週間あまりでつくる「速醸酛(sokujo-moto)」を使っています。菊正宗は1958年に、冬の寒い時期だけ動く「嘉宝蔵(Kaho-gura)」を建て、この造り方を続けてきました。嘉宝蔵では、蔵人(kurabito、酒造りの職人)が桶に入って材料を足で踏む「酛ふみ」を、酛づくりの工程として行っています。
生酛は上位の限定酒で続けてきた造り方ですが、定番の「上撰 本醸造」も生酛造りに切り替えました。本醸造とは、米の外側を3割以上削り、少量の醸造アルコールを加えた日本酒です。
西宮の水と、三木の田んぼ
菊正宗は、日本酒づくりに「宮水(Miyamizu)」を使っています。宮水は、西宮(Nishinomiya)のごく限られた範囲に湧く地下水で、菊正宗はその一帯で井戸を管理しています。
米については、明治24年(1891年)に兵庫県三木市(Miki)の吉川町・口吉川町の農家と酒米の契約栽培を始めました。この農家のグループは「嘉納会(Kano-kai)」と呼ばれ、いまも米を届けています。
酒蔵の案内
菊正宗酒造記念館(Kiku-Masamune Sake Brewery Museum)は、予約なしで無料で見学できます(10名未満の場合)。仕込みを行う蔵そのものではなく、酒造りの道具を展示する資料館です。以下は2026年9月30日に確認した内容です。
| 開館時間 | 9:30〜16:30(入館は16:00まで) |
| 休館日 | 火曜日(祝日の場合は開館し、翌水曜日が休館)、年末年始(2026年は12月30日〜2027年1月4日)。2026年4月から火曜日が休館日になりました |
| 入館料 | 無料 |
| 予約 | 10名未満は不要。10名以上は予約サイトから、40名以上は記念館へ電話 |
| 電話 | 078-854-1029 |
見られるもの。展示室の酒造りの道具は、ほぼすべてが国の重要有形民俗文化財に指定されています。
試飲。館内の「きき酒コーナー」で、火入れ(加熱処理)をせず、水も加えていない「生原酒(nama genshu)」や季節の日本酒を試飲できます。試飲をするなら、車やバイクを運転して来ないでください。
予約制の見学(無料)。記念館から案内される施設が2つあります。どちらも各回15名までで、団体は受け付けていません。
- 樽酒マイスターファクトリー:蔵の樽酒に使う樽をつくる工房です。10:30/13:30/14:30、約30分。見学日の2日前までに予約が必要です。土日祝日は樽づくりの作業がなく、映像での紹介になります。小学生以下は入場できません
- 盃展示館(sakazuki、日本酒を飲む小さな器の展示館):記念館から徒歩2分です。11:10/14:10/15:10、約30分
英語。記念館の公式サイトには、英語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語のページがあります。ただし、樽酒マイスターファクトリーと盃展示館の案内は日本語のみです。
アクセス
所在地は神戸市東灘区魚崎西町1-9-1です。
- JR:住吉(Sumiyoshi)駅で六甲ライナーに乗り換え、2駅目の南魚崎(Minami-Uozaki)駅から北西へ徒歩2分です
- 阪神電車:魚崎(Uozaki)駅から、住吉川沿いの遊歩道を南へ徒歩10分です
- 乗車時間の目安(乗り換えを除く、2026年9月時点):JR大阪駅〜住吉駅 約30分、JR三ノ宮駅〜住吉駅 約8分、阪神梅田駅〜魚崎駅 約35分、阪神三宮駅〜魚崎駅 約10分
時刻と運賃は、JR西日本・阪神電車・六甲ライナー(神戸新交通)の公式サイトでご確認ください。同じ東灘区には、白鶴酒造など見学施設を持つ蔵がほかにもあります。
営業日や見学の受け入れは変わることがあります。訪ねる前に蔵の公式情報をご確認ください。
菊正宗酒造のお酒の買い方
記念館の売店。記念館では、限定の日本酒やオリジナルグッズを販売しています。記念館限定の商品には、米と米麹と水だけでつくり、米の外側を4割以上削って低温でゆっくり発酵させた「菊正宗 奉献 純米吟醸」があります(2026年9月30日確認)。品ぞろえは変わることがあります。
公式オンラインストア。「菊正宗ネットショップ」と、楽天市場の公式店があります。
- 海外へ持ち帰る場合:100mlを超える瓶は、保安検査前の手荷物には入れられません。預け入れ荷物にするか、保安検査後の免税店でお求めください。乗り継ぎがある場合と、到着する国の持ち込み上限は事前にご確認ください。→ 旅のヒント
酒蔵情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 社名 | 菊正宗酒造株式会社(Kiku-Masamune Sake Brewing Co., Ltd.) |
| 創業 | 万治2年(1659年) |
| 代表者 | 代表取締役社長 嘉納治郎右衞門 |
| 所在地 | 本社 〒658-0046 兵庫県神戸市東灘区御影本町1-7-15 Google マップで開く |
| 電話 | 078-851-0001(本社) |
| 代表銘柄 | 菊正宗、百黙(Hyakumoku) |
| 公式サイト | https://www.kikumasamune.co.jp/ (英語 https://www.kikumasamune.com/ ) |
| 見学施設 | あり(菊正宗酒造記念館。入館無料・10名未満は予約不要) |
| 直営の売店 | 記念館の売店、公式オンラインストア(菊正宗ネットショップ) |