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大関 — 灘の東の端・今津で、三百年あまり日本酒をつくる蔵

  • Sake JP 編集部
西宮市の今津灯台(2020年撮影)。切石を積んだ台座の上に、黒い板張りで裾の広がった木造の灯台が立ち、頂部に屋根の付いた灯室が載る。台座には「文化七年建之」などの文字が刻まれ、背後に川と集合住宅が見える
2020年2月に撮影した今津灯台です。大関の創業家が1810年に今津の港に建てた常夜灯(夜どおし灯す明かり)を始まりとする灯台で、2024年に港の対岸へ移されました。Seenen / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

こんな人におすすめ

  • 大阪・神戸に泊まり、電車で行ける酒蔵を探している人(最寄り駅から歩いて行けます)
  • 日本酒を仕込む場所を、ガラス越しに見てみたい人(ガイドが付く蔵見学ではありません。水曜日は休みです)
  • 蔵のブランドショップで、有料の試飲をしてから日本酒を選びたい人
  • 日本酒のほかに、酒蔵ならではのお菓子やソフトクリームも楽しみたい人

大関について

大関(Ozeki)は、兵庫県西宮市今津(Imazu, Nishinomiya)に本社を置く酒造会社です。銘柄も会社名と同じ「大関」です。

1711年に、初代の大坂屋長兵衛(Ozakaya Chobei)が「大坂屋」という屋号で、今津村で日本酒づくりを始めました。1964年には、カップ入りの日本酒「ワンカップ大関(One Cup Ozeki)」を発売しました。

旅行者が訪ねられるのは、本社近くのブランドショップ「甘辛の関寿庵(Sekijuan)」です。敷地には、2025年10月に完成した手仕込みの小さな蔵「魁蔵(Sakigake-gura)」があり、仕込み場をガラス越しに見られます(2026年10月6日確認)。

灘五郷の東の端、今津の港町

灘(Nada)は、神戸市灘区から西宮市にかけての海沿いに広がる酒どころです。灘五郷(Nada Gogo)と呼ばれる5つの地区に分かれ、大関がある今津郷(Imazu-go)は、そのいちばん東にあたります。2020年には、伊丹と灘五郷の日本酒づくりの歴史が「日本遺産」に登録されました。

灘の酒蔵には、兵庫県の丹波(Tamba)地方から多くの杜氏(toji、日本酒づくりの責任者)が働きに来ていました。この杜氏の流れを「丹波杜氏(Tamba toji)」と呼びます。大関は、下で紹介する辛丹波を丹波杜氏から伝わる技でつくり、魁蔵でも丹波杜氏が仕込みを担っています。

今津は港町でもあります。1810年、大関の創業家の五代目長兵衛が、自分の費用で今津の港に常夜灯を建てました。これがいまの「大関酒造今津灯台」です。1968年に海上保安庁から航路標識として正式に認められ、西宮市の指定重要有形文化財にもなっています。2024年には、排水機場の整備工事のため、港の対岸(今津真砂町)へ移されました。

蔵の歩みは、町の出来事と重なっています。1945年の空襲で本社の施設のほとんどを焼失し、1995年の阪神・淡路大震災でも本社の施設が被災しました。

銘柄名は、1764年から「万両」を使っていました。1884年に「大関」へ改め、商標を出願しています。1958年には、大相撲の優勝力士に「大関杯」を贈り始めました。

ワンカップと辛丹波

西宮の本社には、日本酒をつくる蔵が3つあります。1960年に完成した寿蔵(Kotobuki-gura)と、震災で倒れた蔵と一体にして1996年に新しくした恒和蔵(Kowa-gura)、そして魁蔵です。

ここでは、種類の違う3つを挙げます。価格は蔵の商品ページの参考小売価格(税別)です(2026年10月6日確認)。

  • 上撰 金冠 ワンカップ(One Cup) — ワンカップ大関は、1964年10月10日、東京オリンピックの開幕日に合わせて発売されました。この商品は、特定名称の条件に当たらない日本酒「普通酒(futsu-shu)」です。180mlで265円
  • 上撰 辛丹波(Karatamba) — 辛丹波は1988年に発売されました。この商品は、米の外側を3割以上削り、少量の醸造アルコールを加えた「本醸造酒(honjozo-shu)」で、米麹(rice koji、蒸した米に麹菌を育てたもの)には兵庫県産の山田錦(Yamada Nishiki)を使っています。720mlで1,050円
  • 魁蔵 仕込第1号 天与の酒 純米大吟醸 — 魁蔵で最初に仕込んだ日本酒です。米と米麹と水だけでつくり、米の外側を半分以上削った「純米大吟醸(junmai daiginjo)」です。米麹に使う米は国産米で、それ以外の米には兵庫県産の山田錦だけを使っています。数量限定で、720mlで7,273円

辛丹波は、名前に「辛」の字が入ります。日本酒でいう「辛口(karakuchi)」は、塩辛さや香辛料の辛さではなく、甘さを少なく感じる味わいのことです(→ 甘口と辛口)。蔵は辛丹波をこう紹介しています。

旨味がありつつもキレのある後味が特徴の、淡麗辛口の本醸造酒です。 ——大関 公式サイト「上撰 辛丹波」より

大関は1979年に、アメリカ・カリフォルニア州のホリスター(Hollister)でも醸造を始めました。海外の店で見かける「大関」には、この醸造所でつくられた商品と、辛丹波のように兵庫県でつくられた商品があります。

ガラス越しに見る手仕込みの蔵「魁蔵」

魁蔵は、大関にとって65年ぶりの新しい蔵です。一度に仕込む米は最大150kgと小さく、洗米から瓶詰めまでを手仕事で行います。経験を積んだ杜氏と若い造り手が一緒に働く蔵として建てられ、仕込第1号の天与の酒は、6人の丹波杜氏がつくりました。

天与の酒という名前は、魁蔵に掛けられた木札の言葉「天与の酒造り」から付けられました。良い米・水・酵母は、天から与えられた自然があってこそ育つ、という考えを表した言葉です。

酒蔵の案内

魁蔵と甘辛の関寿庵

魁蔵は、甘辛の関寿庵の敷地にあります。仕込み場はガラス張りで、日本酒づくりの工程を近くで見られるように造られています。見学できる時間は、関寿庵の営業日に合わせています。ガイドが付く蔵見学や予約の案内は、公式サイトにはありません(2026年10月6日確認)。

甘辛の関寿庵は、2001年に開いた大関のブランドショップです。店に入って左手に日本酒の売り場があり、大関の日本酒や搾りたての生原酒を有料で試飲できます。正面には、日本酒や発酵の技術を使ったお菓子が並びます。奥の喫茶コーナーでは、酒饅頭を練りこんだソフトクリームなどを、中庭を見ながら食べられます。

甘辛の関寿庵・魁蔵(2026年10月6日確認)
所在地 兵庫県西宮市今津出在家町3-3(魁蔵は関寿庵の敷地内) Google マップで開く
営業時間 10:00〜18:00(魁蔵の見学できる時間も同じ)
休み 水曜日、1月1日〜3日。12月31日は13:00まで
試飲 有料
駐車場 店の奥に5台
電話 0798-32-3039

車で行く場合は、運転する人は試飲できません。飲酒運転は法律で禁じられています。

大関は毎年、西宮市で開かれる「西宮酒ぐらルネサンスと食フェア」に合わせて、社員食堂を開放する「大関 魁Bar」を開いています。直近は2026年10月3日・4日でした。次の日程は公式の告知でご確認ください。

行き方

  • 電車:阪神電車・阪急電車の「今津(Imazu)」駅、または阪神電車の「久寿川(Kusugawa)」駅から歩いて行けます

駅に停まる列車と時刻は、阪神電車の今津駅・久寿川駅と阪急電車の今津駅の公式ページでご確認ください。

兵庫県のほかの酒蔵は、兵庫県のページで紹介しています。

営業日や見学の受け入れは変わることがあります。訪ねる前に蔵の公式情報をご確認ください。

大関のお酒の買い方

蔵で買う場合は、甘辛の関寿庵です。関寿庵でしか扱わない商品もあります。

蔵の公式通販として「大関オンラインショップ」があります。

  • 大関には多くの商品があり、原料や造りは商品ごとに違います。種類はラベルの表示でご確認ください。
  • 海外へ持ち帰る場合:100mlを超える瓶は、保安検査前の手荷物には入れられません。預け入れ荷物にするか、保安検査後の免税店でお求めください。乗り継ぎがある場合と、到着する国の持ち込み上限は事前にご確認ください。→ 旅のヒント

酒蔵情報

項目 内容
蔵名 大関株式会社(Ozeki Co., Ltd.)
創業 1711年(正徳元年)
代表者 代表取締役社長 長部訓子
所在地 〒663-8227 兵庫県西宮市今津出在家町4番9号 Google マップで開く
電話 0798-32-2111(代表)
代表銘柄 大関(Ozeki)、ワンカップ大関、辛丹波
蔵 寿蔵・恒和蔵・魁蔵(いずれも西宮市の本社)
公式サイト https://www.ozeki.co.jp/
蔵見学 魁蔵の仕込み場をガラス越しに見られます(甘辛の関寿庵の敷地内・水曜日は休み)
直売所 甘辛の関寿庵(ブランドショップ)/大関オンラインショップ
英語対応 公式サイトに英語ページあり