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月桂冠 — 伏見の水辺で、江戸時代から日本酒をつくってきた蔵

  • Sake JP 編集部
伏見の月桂冠大倉記念館の外観。白壁と焼杉板の蔵が通りに沿って続き、足元には竹を曲げた犬矢来が並ぶ
伏見の月桂冠大倉記念館です。白壁と焼杉板の酒蔵が通りに沿って続いています。663highland / CC BY 2.5 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

こんな人におすすめ

  • 京都観光の途中に、半日ほどで酒蔵の町を歩いてみたい人
  • 酒蔵の資料館で、昔の酒造りの道具と会社の歩みを見てみたい人
  • 日本酒を3種類、少しずつ飲み比べてみたい人(20歳以上)
  • 大正時代から続くラベルの意匠や、ひとつの蔵の銘柄の成り立ちに興味がある人

月桂冠について

月桂冠株式会社(Gekkeikan Sake Company)は、京都市の南部、伏見(Fushimi)に本社を置く酒造会社です。会社の名前と主な銘柄の名前が同じ「月桂冠(Gekkeikan)」なので、この記事では会社を「月桂冠の蔵」、商品を「月桂冠の日本酒」と書き分けます。

創業は1637年です。初代の大倉治右衛門(Okura Jiemon)が、京都府南部の笠置(Kasagi)から伏見に出てきて酒屋を開きました。屋号は出身地にちなんだ「笠置屋」、当時の酒銘は「玉の泉」でした。

旅行者が訪ねられるのは、蔵が運営する資料館「月桂冠大倉記念館(Gekkeikan Okura Sake Museum)」です。記念館の隣には、いまも日本酒をつくっている酒蔵がありますが、そちらは製造の場所なので公開していません。

「伏水」と書かれた町

伏見は、京都盆地の南の端にある町です。江戸時代の伏見は、京都と大坂(いまの大阪)を結ぶ淀川の水運の玄関口として栄えました。月桂冠の蔵は、その舟の乗り降りの場所に近い街道沿いで商売をしていました。

伏見は、かつて「伏水」とも書かれました。桃山丘陵の地下をくぐった水が、山のふもとで湧き出す土地です。月桂冠大倉記念館の中にも井戸があり、蔵はその水を隣の酒蔵での醸造に使っています。

伏見の酒蔵は、江戸時代に数を大きく減らしています。伏見の酒屋は1657年に83軒ありましたが、1785年には28軒になりました。原因は、火事、日本酒の腐敗、飢饉による酒造りの制限です。1868年の鳥羽伏見の戦いでも多くの酒蔵が焼けましたが、月桂冠の蔵は火の手が迫るなかで焼失を免れました。1828年に建てられた大倉家の本宅は、いまも創業の地に残っています。

地元の酒屋から、全国の銘柄へ

月桂冠の蔵は創業から約250年のあいだ、伏見の地元の人や旅人を相手にする小さな酒屋でした。

変わったのは明治時代です。1886年、11代目の大倉恒吉(Okura Tsunekichi)が13歳で家業を継ぎました。1905年、恒吉は商品の名前として「月桂冠」を商標登録しました。月桂冠とは、競技の勝者に贈られる、月桂樹の葉で編んだ冠(Laurel Wreath)のことです。1909年には酒造りのための研究所を設け、防腐剤を使わない瓶詰めの日本酒を商品化しました。当時は樽で売るのが主流でした。鉄道を使って東京などへ販路を広げたのもこの時代です。

1989年には、アメリカ・カリフォルニア州フォルサム(Folsom)に米国月桂冠株式会社を設立しました。この会社は清酒などの酒類を製造して販売しています。なお、日本の制度では、日本産の米だけを使い、日本国内でつくった清酒だけが「日本酒」と表示できます(日本酒用語)。

月桂冠の日本酒

「月桂冠」の名前が付く商品は、日本酒だけでも数多くあります。原料も米の削り方も商品ごとに違うため、種類は瓶のラベルでご確認ください。ここでは2つを紹介します。

上撰(Josen) は、月桂冠のスタンダードにあたる商品です。特定名称の条件に当たらない日本酒「普通酒(futsu-shu)」で、原材料は米・米麹・醸造アルコールです。香りと味は「自然な香りと、まろやかなうまみ」(月桂冠の商品情報より)です。ラベルの意匠は大正時代ごろのものを引き継いでいます。もろみ(発酵中の日本酒のもと)に発酵の終わりごろもう一度米を加える「四段仕込み(yondan jikomi)」は、伏見に伝わる技術です。おすすめの飲み方は、5〜10℃に冷やすか、40〜50℃に温める燗(kan)です。

鳳麟(Horin)純米大吟醸 は、米と米麹と水だけでつくり、米の外側を半分以上削った「純米大吟醸(junmai daiginjo)」です。香りと味は「マスカットのような甘く艶やかな香りと上品な甘み、口の中に広がるみずみずしく芳醇な余韻」(月桂冠の商品情報より)です。

酒蔵の案内

月桂冠の蔵で旅行者が見学できるのは、資料館の月桂冠大倉記念館です。中庭をはさんで隣にある内蔵酒造場(うちぐらしゅぞうじょう)では、但馬(Tajima)流の杜氏(toji、日本酒づくりの責任者)が昔ながらの道具で日本酒をつくっていますが、製造の場所のため公開していません。仕込みの様子は、公式サイトの写真と映像で紹介されています。

記念館は1909年に建てられた酒蔵を使っています。展示は、会社の歩みを伝える史料と、京都市の有形民俗文化財に指定された木桶・酒樽などの酒造用具です。見学の最後に、試飲のコーナー「きき酒処」で日本酒を飲めます。

項目 内容(2026年9月30日確認)
開館時間 9:30〜16:30(受付は16:00まで)
休館日 8月13日〜16日、12月28日〜1月4日、ほか臨時休館日
入館料 20歳以上600円、13〜19歳100円、12歳以下無料
含まれるもの 13歳以上はおみやげ付き。20歳以上は、季節ごとに用意した約10種類から3種類を選ぶ試飲付き
所要時間 約40〜60分。ガイドは付きません
支払い キャッシュレス決済のみ(2026年7月1日から現金は使えません)
予約 インターネットで事前予約をすると、優先して入館できます。予約は見学日の2週間前の9:30から前日16:30まで
予約なし 入館できます。混雑時は待つことがあり、定員に達すると見学できないことがあります
人数 1グループ12名まで。13名以上の団体の見学は休止中です
英語 英語の案内ページがあります。予約ページは日本語のみです
電話 075-623-2056(開館日の9:30〜16:30)

車・バイク・自転車を運転してきた人、20歳未満の人、妊娠中・授乳中の人は試飲できません。館内には、自分のスマートフォンで読む「館内ガイド」があり、無料のWi-Fiで使えます。

行き方

住所:〒612-8660 京都府京都市伏見区南浜町247

JR京都駅から来る場合は、近鉄京都駅から近鉄京都線に乗り、桃山御陵前駅(Momoyama-goryomae)で降ります。駅から記念館までは歩いて約10分です。京阪本線の中書島駅(Chushojima)からは歩いて約5分です。乗る列車が桃山御陵前駅に停まるかどうかと、帰りの時刻は、近鉄の駅情報・時刻表でご確認ください。

記念館の周りの見どころには、坂本龍馬が泊まった旅籠の寺田屋(Teradaya)、伏見の氏神の御香宮神社(Gokonomiya Shrine)、春から秋に濠川を行く観光船の十石舟(Jukkokubune)があります。

営業日や見学の受け入れは変わることがあります。訪ねる前に蔵の公式情報をご確認ください。

月桂冠のお酒の買い方

記念館のブランドショップ:月桂冠大倉記念館の中にある売店です。記念館だけで売る商品を含む月桂冠の日本酒のほか、京都の工芸品、奈良漬(酒粕に漬けた野菜)、酒まんじゅうを扱っています。ショップだけを使う場合、入館料はかかりません。支払いはキャッシュレス決済のみです(2026年9月30日確認)。

公式オンラインショップ:「月桂冠オンラインショップ」があります。お届けは日本国内に限ります(2026年9月30日確認)。

海外へ持ち帰る場合:100mlを超える瓶は、保安検査前の手荷物には入れられません。預け入れ荷物にするか、保安検査後の免税店でお求めください。乗り継ぎがある場合と、到着する国の持ち込み上限は事前にご確認ください。→ 旅のヒント

酒蔵情報

項目 内容
社名 月桂冠株式会社(Gekkeikan Sake Company, Limited)
創業 1637年(寛永14年)。会社設立は1927年5月15日
代表者 代表取締役社長 大倉治彦
所在地 〒612-8660 京都府京都市伏見区南浜町247 Google マップで開く
電話 075-623-2001(本社)/075-623-2056(月桂冠大倉記念館)
代表銘柄 月桂冠
公式サイト https://www.gekkeikan.co.jp/ (英語 https://www.gekkeikan.com/museum/ )
見学施設 月桂冠大倉記念館(有料・予約優先・予約なしでも入館可。一般見学にガイドなし)。酒造場は非公開
直営の売店 月桂冠大倉記念館のブランドショップ/公式オンラインショップ(日本国内への配送のみ)