日本酒は日本の各地でつくられています。この記事では、つくられる日本酒の量と、全国の品評会の成績をもとに、日本酒づくりが盛んな5つの県を選びました。量は、2024年7月から2025年6月までの1年間に、県ごとにつくられた日本酒の量です。
| 県 | つくられる量の順位 |
|---|---|
| 兵庫県(Hyogo) | 1位(日本全体の約27%) |
| 京都府(Kyoto) | 2位(約15%) |
| 新潟県(Niigata) | 3位(約9%) |
| 秋田県(Akita) | 5位(約4%) |
| 福島県(Fukushima) | 9位(約2%)。品評会の金賞の数は1位 |
量の順位は、味や評価の順位ではありません。旅先を選ぶときは、訪ねられる施設がどこにあるかをあわせて見てください。
兵庫県——神戸の海沿いに並ぶ「灘五郷」
兵庫県の日本酒づくりの中心は、神戸市と西宮市(Nishinomiya)の海沿いにある「灘五郷(Nada Gogo)」です。西郷・御影郷・魚崎郷・西宮郷・今津郷の5つの地域からなり、灘五郷だけで日本全体の約2割をつくっています。
灘の日本酒は18世紀末、江戸(いまの東京)へ送られて人気を集めました。西宮のごく限られた範囲には「宮水(Miyamizu)」と呼ばれる地下水が湧き、日本酒づくりに使われています。酒米(sakamai、日本酒づくりに向く米)の代表である山田錦(Yamada Nishiki)も、兵庫県で生まれた品種です。

大阪と神戸を結ぶ阪神電車の沿線に、蔵が運営する資料館があります。
- 白鶴(Hakutsuru):白鶴酒造資料館。阪神本線の住吉(Sumiyoshi)駅から歩いて約5分です
- 菊正宗(Kiku-Masamune):菊正宗酒造記念館。阪神本線の魚崎(Uozaki)駅から歩いて約10分です
県内の酒蔵は兵庫県のページにまとめています。
京都府——量のほとんどが伏見
京都府でつくられる日本酒の約98%は、京都市の南部にある伏見でつくられています。伏見は京都盆地の南の端にある町で、かつて「伏水」とも書かれました。桃山丘陵の地下をくぐった水が、山のふもとで湧き出す土地です。
江戸時代の伏見は、京都と大坂(いまの大阪)を結ぶ淀川の水運の玄関口として栄えました。いまも白壁の酒蔵が並ぶ町並みが残り、春から秋には観光船の十石舟(Jukkokubune)が濠川を行き来します。
- 月桂冠(Gekkeikan):月桂冠大倉記念館。近鉄京都線の桃山御陵前(Momoyama-goryomae)駅から歩いて約10分です。JR京都駅からは、近鉄京都駅から近鉄京都線に乗ります
伏見の酒蔵は京都府のページにまとめています。
新潟県——日本酒をつくる場所の数が、日本でいちばん多い県
新潟県は量では3位ですが、この1年間に日本酒をつくった場所の数は77で、日本でいちばん多い県です。蔵は県内の各地にあります。
南魚沼市(Minamiuonuma)などの山あいは、冬に雪が深く積もる土地です。酒米の五百万石(Gohyakumangoku)は新潟県で生まれた品種で、2024年産の半分余りが新潟県でつくられています。
訪ね方は蔵によって大きく違います。
- 久保田(Kubota)と朝日酒造:長岡市(Nagaoka)。予約なしで参加できる無料の蔵見学があります(案内は日本語のみ)
- 八海山(Hakkaisan)と八海醸造:南魚沼市。蔵見学は行っていませんが、蔵のそばの施設で食事や買い物ができます
- 阿部酒造(Abe Shuzo):柏崎市(Kashiwazaki)。蔵見学は行っていません。訪ねられるのは直売所です
県内の酒蔵は新潟県のページにまとめています。
秋田県——秋田酒こまちの県
秋田県では、この1年間に33か所で日本酒がつくられました。酒米の秋田酒こまち(Akita Sake Komachi)は秋田県が育てた品種で、2024年産はすべて秋田県でつくられています。
秋田県の観光連盟が、見学や「蔵開放(kura-kaiho、蔵を一般の人に開放する日)」を行っている酒蔵の一覧を出しています。見学日が限られていたり、予約が必要だったりする蔵があるため、出かける前に各蔵に確かめてください。
福島県——品評会で金賞の数がいちばん多い県
福島県は量では9位ですが、この1年間に日本酒をつくった場所の数は54で、新潟県・長野県(Nagano)・兵庫県に次ぐ4番目です。
全国新酒鑑評会(Zenkoku Shinshu Kanpyokai)は、酒類総合研究所と日本酒造組合中央会が毎年開く、その年につくられた日本酒の品評会です。2026年5月に発表された結果では、福島県は金賞の数で2年続けて都道府県別の1位になりました。それ以前にも、9回続けて1位になっています。
会津若松市には、予約なしで見学できる蔵があります。
- 末廣酒造(Suehiro Shuzo)嘉永蔵(Kaei-gura):会津若松市。ガイドの案内で蔵の中を約30分見学できます。団体は予約が必要です。定休日は第2水曜日です(2026年9月30日確認)。JR会津若松駅から市内を回るバス「ハイカラさん(Haikarasan)」に乗り、七日町中央(Nanokamachi-chuo)で降りて歩いて約5分です。
蔵の数で選ぶなら
量ではなく、日本酒をつくる場所の数で並べると、上位は新潟県・長野県・兵庫県・福島県・山形県(Yamagata)になります。小さな蔵を何軒も訪ねたい人は、長野県や山形県も候補になります。
全国の酒蔵は酒蔵一覧から探せます。