コンテンツへスキップ

而今 — 伊賀の宿場町・名張で、「いま」という禅の言葉を名にした日本酒

  • Sake JP 編集部
三重県名張市本町にある木屋正酒造の建物。瓦屋根と白壁の町家で、軒先に杉の葉を丸めた杉玉が2つ下がり、格子の戸が並んでいます
名張市本町(Honmachi)にある木屋正酒造の建物です(2021年撮影)。軒先に杉玉(sugidama、杉の葉を束ねて球にしたもの)が下がっています。Asturio Cantabrio / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

こんな人におすすめ

  • 旅の途中で、飲食店や酒販店で三重県の日本酒を探してみたい人(木屋正酒造は、蔵見学・試飲・小売販売を行っていません)
  • 同じ蔵の日本酒を、酒米(sake rice、日本酒づくりに向く米)の品種ごとに飲み比べてみたい人
  • 大阪・名古屋から足をのばして、古い城下町を歩いてみたい人

木屋正酒造について

木屋正酒造(Kiyasho Shuzo)は、三重県名張市(Nabari)にある酒蔵です。創業は1818年です。代表銘柄は「而今(Jikon)」で、創業のころからの銘柄「高砂」もつくっています。

蔵見学・試飲・小売販売は行っていません(2026年9月30日確認)。日本酒づくりに専念するためです。

而今は、令和7酒造年度全国新酒鑑評会(酒類総合研究所・日本酒造組合中央会)で金賞を受けています。

初瀬街道の町と、伊賀の盆地

名張は、三重県の伊賀(Iga)地方にある町です。木屋正酒造は1818年、奈良・京都から伊勢神宮へ向かう初瀬街道(Hatsuse Kaido)沿いで創業しました。

蔵の先祖は、江戸時代の初めに藤堂家に従って、今治(Imabari、現在の愛媛県)から名張へ移ってきたと伝えられています。もとは材木商で、「木屋正(きやしょう)」はその屋号です。名張では1636年から明治維新まで、藤堂家の一門が屋敷を構え、城下町を整えました。

伊賀の盆地は、かつて古い琵琶湖の底だったとされる土地です。町には紀伊山地からの伏流水(地下を流れてきた水)が湧く名張川が流れています。この土と水が伊賀の米を育てます。蔵は、伊賀の自然のすべてが日本酒づくりのもとになっていると考えています。

「而今」という名前

「而今(じこん)」は、曹洞宗を開いた道元(Dogen)の禅の言葉です。蔵は、この言葉を次のように説明しています。

「過去にも囚われず、未来にも囚われず、今をただ精一杯に生きる」 ——木屋正酒造 公式サイト「木屋正酒造」より

6代目は、「但馬杜氏(Tajima toji)」と呼ばれる杜氏(toji、日本酒づくりの責任者)のもとで2年間日本酒づくりを学びました。そのあと自ら杜氏としてつくった日本酒に、2005年、「而今」と名づけました。

蔵は、日本酒づくりを「微生物の世話」と考えています。日本酒は麹菌と酵母という微生物が育つことでできあがり、人にできるのは、その環境を整えることだという考え方です。

米の品種ごとに、毎月違う而今

而今は、伊賀産の山田錦(Yamada Nishiki)を中心に、全国の酒米でつくられています。愛山、酒未来(Sakemirai)、雄町(Omachi)、千本錦(Senbon Nishiki)、八反錦、五百万石(Gohyakumangoku)などの品種ごとに商品があり、蔵は毎月違う種類を出荷しています。

商品は特定名称ごとに分かれ、米の品種などの名前と、「生」か「火入」かで区別されています。「火入(hiire)」は、出荷の前に加熱処理をしたものです。「生」は、加熱処理をしていない生酒(namazake)です。同じ米の品種でも、生と火入で出荷の月が違います。

蔵の商品一覧から、種類の違う3つを挙げます(2026年9月30日確認。価格の表示はありません)。

  • 而今 純米大吟醸 名張 火入 — 米と米麹と水だけでつくり、米の外側を半分以上削った「純米大吟醸(junmai daiginjo)」です。出荷予定は6月です
  • 而今 純米吟醸 山田錦 火入 — 米と米麹と水だけでつくり、米の外側を4割以上削って低温でゆっくり発酵させた「純米吟醸(junmai ginjo)」です。酒米は山田錦で、出荷予定は4月です。同じ山田錦の生は2月の出荷です
  • 而今 特別純米 火入 — 米と米麹と水だけでつくり、米の外側を4割以上削るか、特別な製造方法をとった「特別純米酒(tokubetsu junmai-shu)」です。出荷予定は4月からです

純米吟醸の一部には「きもと」と名の付く商品があります。酒母(shubo、発酵のもとになる酵母を育てたもの)を昔のやり方でつくる「生酛(kimoto)」の商品です。原料や造りは商品ごとに違うため、種類と米の名前はラベルの表示でご確認ください。

創業のころからの銘柄「高砂」

「高砂」は、創業のころから木屋正酒造を代表してきた銘柄です。2005年からは而今に力を注いできましたが、創業200年を迎えた2018年、蔵として初めて生酛でつくり、高砂を新しい製法で復活させました。

酒蔵の案内

木屋正酒造は、蔵見学・試飲・小売販売を行っていません(2026年9月30日確認)。蔵を訪ねても、見学や日本酒の購入はできません。

蔵は「座(Za)」と名づけた場所も持っています。酒房・食堂・台所・宿坊(泊まる部屋)からなるゲストハウスですが、一般には公開していません。

名張の町を歩くなら

蔵の建物は、名張駅の近くの本町にあります。町には、藤堂家の一門の屋敷跡「名張藤堂家邸」が残り、一般に公開されています。

  • 開館時間:9:00〜16:30
  • 休館日:月曜日・木曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月29日〜1月3日)
  • 入館料:2026年10月1日から一般300円、高校生150円、小中学生は無料

開館時間と入館料は2026年9月30日に確認したものです。詳しくは名張市の案内ページでご確認ください。

行き方

住所:〒518-0726 三重県名張市本町314-1

  • 電車:近鉄(Kintetsu)の名張駅から歩いて約10分です。名張駅から大阪難波駅までは特急で約54分、近鉄名古屋駅までは特急で約85分です

所要時間は2026年9月時点の目安です。列車の時刻は近畿日本鉄道でご確認ください。

営業日や見学の受け入れは変わることがあります。訪ねる前に蔵の公式情報をご確認ください。

木屋正酒造のお酒の買い方

木屋正酒造は、取扱店・特約店の一覧を公開していません(2026年9月30日確認)。蔵での小売販売はなく、公式オンラインショップもありません。

蔵は、日本酒を最良の状態で届けてくれる酒販店との信頼を大切にしています。而今は酒販店を通じて売られていますが、どの店が扱っているかは公表されていません。インターネット上には而今を扱うと表示している店がありますが、蔵が公表した一覧ではないため、このページでは店を挙げていません。

買うときの注意

  • 而今には多くの商品があり、原料や造りは商品ごとに違います。種類はラベルの表示でご確認ください。
  • 商品ごとに出荷の月が決まっています。取扱いの有無と在庫は店によって違うため、訪ねる前に店へご確認ください。
  • 海外へ持ち帰る場合:100mlを超える瓶は、保安検査前の手荷物には入れられません。預け入れ荷物にするか、保安検査後の免税店でお求めください。乗り継ぎがある場合と、到着する国の持ち込み上限は事前にご確認ください。→ 旅のヒント

酒蔵情報

項目 内容
蔵名 木屋正酒造株式会社(Kiyasho Shuzo Co., Ltd.)
創業 1818年(文政元年)
代表者 大西唯克
所在地 〒518-0726 三重県名張市本町314-1 Google マップで開く
電話 0595-63-0061
代表銘柄 而今(Jikon)/高砂
公式サイト https://kiyashow.com/
蔵見学 不可
直売所 なし(小売販売・試飲も不可)
取扱店の一覧 公開されていません(2026年9月30日確認)
英語対応 公式サイトに英語ページあり。蔵での英語対応は公表されていません