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七本鎗 — 琵琶湖の北の宿場町・木之本で、土地の米と古い井戸の水から造る日本酒

  • Sake JP 編集部
滋賀県長浜市木之本町の北国街道沿いに建つ冨田酒造。瓦屋根の二階建ての町家で、格子戸の軒先に丸い杉玉が下がっている
長浜市木之本町の北国街道沿いに建つ冨田酒造です。軒先に杉玉が下がっています。Asturio Cantabrio / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

こんな人におすすめ

  • 京都や北陸へ向かう途中で、琵琶湖の北にある古い宿場町を歩いてみたい人(冨田酒造は蔵見学を受け付けていません)
  • 酒米(sake rice、日本酒づくりに向く米)の品種や、米の削り方の違いで日本酒を飲み比べてみたい人
  • 香りの華やかさよりも、食事と一緒に飲む日本酒を探している人

冨田酒造について

冨田酒造(Tomita Shuzo)は、滋賀県長浜市(Nagahama)の木之本町(Kinomoto)にある酒蔵です。琵琶湖(Lake Biwa)の北の端に近い町で、蔵は旧街道の北国街道(Hokkoku Road)に面しています。創業は天文年間(1532〜1555年)の初期で、銘柄は「七本鎗(Shichihonyari)」です。蔵見学は受け付けていません(2026年9月30日確認)。

いまの当主は15代目の冨田泰伸さんです。2002年に蔵に入り、経営者が自ら日本酒を造る「オーナー杜氏(toji、日本酒づくりの責任者)」の蔵に変えました。

宿場町と、七人の若武者

木之本は、北陸と京都を結ぶ北国街道と北国脇往還が分かれる場所にあり、浄信寺(木之本地蔵院 / Kinomoto Jizoin)の門前町、そして宿場町として栄えてきました。冨田家は江戸時代、浄信寺のそば、大名が泊まる本陣の斜め向かいで商いをしていました。

1583年、豊臣秀吉(Toyotomi Hideyoshi)と柴田勝家(Shibata Katsuie)が賤ヶ岳(Shizugatake)で戦ったとき、秀吉は浄信寺を本陣にしました。この戦いで活躍した7人の若武者が「賤ヶ岳の七本槍」と呼ばれ、銘柄の名前はこの7人にちなんでいます。ラベルの「七本鎗」の文字は、大正時代に冨田家に滞在した芸術家・北大路魯山人(Kitaoji Rosanjin)の篆刻(印章の文字)です。

蔵の主屋は1744年の大火のあとに建て直したもので、木之本で最も古い部類の町家として、2019年に国の登録有形文化財になりました。

250年使いつづける井戸

仕込み水は、蔵にある深さ18メートルの井戸からくみ上げています。井戸は1769年に掘り替えたもので、それから同じ井戸を使いつづけています。大学と共同で調べたところ、この水は、蔵の東にある己高山(Mt. Kodakami)など伊吹山地の山々に降った雨や雪解け水が、約35〜40年かけて地中を移動してきたものでした。水は中軟水です。

土地の米で、品種ごとに造る

冨田酒造は、湖北(Kohoku、琵琶湖の北側の地域)に田んぼを持つ5軒の農家と組んで、酒米を育ててもらっています。日本酒は1つの品種の米だけで造り、品種を混ぜません。

蔵の中心になっている酒米は、滋賀県の「玉栄(Tamasakae)」です。ほかに、玉栄と山田錦(Yamada Nishiki)をかけ合わせた「吟吹雪(Ginfubuki)」、滋賀で古くから育てられ、一時は幻の酒米となっていた「渡船(Wataribune)」と「滋賀旭(Shiga Asahi)」も使っています。

2004年からは、米をあまり削らない日本酒にも取り組んでいます。ラベルの「精米歩合(seimai buai)」は、削ったあとに残った米の割合です。精米歩合80%なら、米の外側を2割だけ削ったということです。玉栄の日本酒から、削り方の違う3つを挙げます(2026年9月30日確認)。

  • 七本鎗 純米 玉栄 — 米と米麹と水だけでつくる「純米酒(junmai-shu)」で、蔵の定番です。精米歩合60%。ふくよかなうまみとしっかりした酸があり、冷やしても温めても飲めます
  • 七本鎗 純米大吟醸 玉栄 — 米と米麹と水だけでつくり、米の外側を半分以上削った「純米大吟醸(junmai daiginjo)」です。精米歩合45%。香りは控えめで、口当たりはすっきりしています
  • 七本鎗 低精白純米 80%精米 — 玉栄をあまり削らずに造った純米酒です。精米歩合80%

無農薬の米、木の桶、生酛

2010年に、農家と一緒に農薬を使わない酒米づくりを始めました。この米で造る日本酒が「無有(Muu)」です。同じ2010年からは、長く寝かせる熟成酒「琥刻(Kokoku)」も造っています。

2016年には、蔵に残っていた古材や地域の木材で、伝統的な工法の仕込み蔵を建て増ししました。ここで、木の桶で仕込む「木ノ環(Kinowa)」や、生酛(kimoto、蔵にすみつく天然の乳酸菌の力を借りて、発酵のもとになる酵母を育てる昔ながらの造り方)の日本酒を造っています。

蔵は、七本鎗についてこう書いています。

出どころは狭く、出先は広く。この地で生まれた一杯が、どこかでこの土地と出会う、そのきっかけになればと願う。 ——冨田酒造 公式サイト「七本鎗」より

酒蔵の案内

見学と店舗

冨田酒造は、蔵見学を受け付けていません(2026年9月30日確認)。

蔵には店舗があります。営業時間は9:00〜17:00、定休日は不定休です(2026年9月30日確認)。店舗で扱っている商品は、訪ねる前に蔵へお問い合わせください(電話 0749-82-2013)。

営業日や見学の受け入れは変わることがあります。訪ねる前に蔵の公式情報をご確認ください。

行き方

住所:〒529-0425 滋賀県長浜市木之本町木之本1107

  • 電車:JR木ノ本(Kinomoto)駅から歩いて約7分です。列車の時刻はJR西日本でご確認ください

周辺

蔵のそばの木之本地蔵院(浄信寺)では、毎年8月に「木之本地蔵大縁日」が開かれます。日程は木之本地蔵院の公式サイトでご確認ください。

冨田酒造のお酒の買い方

冨田酒造は、取扱店・特約店の一覧を公開していません(2026年9月30日確認)。

蔵の公式オンラインショップはありますが、日本酒は売っていません。扱っているのは酒粕、甘味、入浴剤・石鹸、手ぬぐい、酒器などです。

七本鎗を扱う酒販店のひとつに、千葉・東京などに店舗を持つ IMADEYA があります。自社のオンラインストアで七本鎗を扱っています(店のサイトで取扱いを確認。2026年9月30日)。店舗ごとの在庫は店にご確認ください。

買うときの注意

  • 七本鎗には多くの商品があり、原料の米や精米歩合は商品ごとに違います。種類はラベルの表示でご確認ください。
  • 取扱いの有無と在庫は店によって違います。限定品や季節の商品は入荷しないこともあるため、訪ねる前に店へご確認ください。
  • 海外へ持ち帰る場合:100mlを超える瓶は、保安検査前の手荷物には入れられません。預け入れ荷物にするか、保安検査後の免税店でお求めください。乗り継ぎがある場合と、到着する国の持ち込み上限は事前にご確認ください。→ 旅のヒント

酒蔵情報

項目 内容
蔵名 冨田酒造有限会社(Tomita Shuzo Co., Ltd.)
創業 天文年間(1532〜1555年)初期
代表者 冨田泰伸
所在地 〒529-0425 滋賀県長浜市木之本町木之本1107 Google マップで開く
電話 0749-82-2013
代表銘柄 七本鎗(Shichihonyari)
仕込み水 蔵の井戸水(深さ18m)
公式サイト https://7yari.co.jp/
蔵見学 不可
店舗 あり(9:00〜17:00・不定休)
公式オンラインショップ あり(日本酒の販売はなし)
取扱店の一覧 公開されていません(2026年9月30日確認)
英語対応 公式サイトに英語ページあり。蔵での英語対応は公表されていません