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赤武酒造 — 海辺の町の蔵を津波で失い、盛岡で日本酒づくりをやり直す

  • Sake JP 編集部
雪の積もった冬の晴れた日の雫石川。青い川面が奥へ延び、両岸には雪をかぶった木々が並ぶ。遠くに雪をいただいた岩手山がそびえる
盛岡市の杜の大橋(Mori-no-Ohashi)から見た雫石川(Shizukuishi River)と岩手山(Mount Iwate)です(2014年3月撮影)。Yasu / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

こんな人におすすめ

  • 盛岡に泊まり、地元の酒販店で岩手県の日本酒を探したい人(赤武酒造が公表している盛岡市内の取扱店を載せています)
  • 東日本大震災のあと、岩手で日本酒づくりがどう続いてきたかに関心がある人
  • 蔵を訪ねるのではなく、飲むこと・探すことを旅の楽しみにできる人(赤武酒造は蔵見学と小売販売を行っていません)

赤武酒造について

赤武酒造(Akabu Shuzo)は、岩手県盛岡市(Morioka)の北飯岡(Kitaiioka)にある蔵です。1896年に、岩手県の海沿いの町、大槌町(Otsuchi)で創業しました。2011年の東日本大震災で大槌町の蔵を失い、2013年から盛岡市の新しい蔵で日本酒をつくっています。

銘柄は「AKABU」と「浜娘(Hamamusume)」です。浜娘は大槌町の時代からの銘柄で、岩手県内だけで出荷しています。

蔵見学と小売販売は行っていません。少人数で日本酒をつくっているためです(2026年9月30日確認)。

大槌から盛岡へ

大槌町は、2011年3月の東日本大震災の津波と、それに続く火災で、壊滅的な被害を受けました。赤武酒造も、酒蔵と事務所のすべてを失いました。

代表取締役の古舘秀峰さんは、親類を頼って内陸の盛岡市へ移りました。2011年7月、盛岡市が被災した企業に提供していた施設の工場を借りることができ、8月、日本酒よりも設備が簡単なリキュールの製造から再開しました。同じ年の11月には、県内の桜顔酒造(Sakuragao Shuzo)の蔵に加わる形で浜娘を仕込み、12月に発売しています。

酵母(koubo、糖をアルコールに変える微生物)は研究機関に預けてあったため、震災でも失われませんでした。しかし日本酒の仕込みに使う水は、新しい蔵の土地で得るしかありませんでした。

蔵の再建には、国のグループ補助金(被災した中小企業の復旧を支える補助金)が使われました。元の大槌町の土地は町の新しいまちづくりの中心になる計画があったため、盛岡市内に土地を借りて新しい蔵を建て、2013年に完成しました。2018年3月には、会社の本店も大槌町から盛岡市へ移しています。

新しい蔵の完成を待っていたころ、古舘さんはこう話していました。

「以前は、先代から引き継いだ酒蔵を潰したくない、という思いだけで酒造りを続けていた面もありましたが、失ってみて初めて、自分がどれほど酒造りを愛していたかに気づきました。」 ——古舘秀峰さん(赤武酒造 代表取締役)、復興庁「事例1-10 赤武酒造の移転先での生産再開と製品開発」(平成24年度の事例集)

若い造り手と「AKABU」

2013年に盛岡へ移ったとき、蔵で日本酒をつくる人たちは、未経験の人の集まりでした。「赤武酒造の新しい歴史を創る」を合言葉に集まった若い人たちが、若い杜氏(toji、蔵の日本酒づくりを率いる職人)を中心に、経験と勉強を重ねてきました。

定番の商品は次のとおりです。

  • AKABU 純米酒 — 米と米麹と水だけでつくる「純米酒(junmai-shu)」です。精米歩合(削ったあとに残った米の割合)は60%で、米の外側を4割削っています。米のうまみと、かんきつ類を思わせる酸味の釣り合いをとり、日本酒だけでも食事と一緒でも飲めるように仕上げています
  • AKABU 純米吟醸 — 米と米麹と水だけでつくり、米の外側を4割以上削って低温でゆっくり発酵させた「純米吟醸(junmai ginjo)」です。この商品は米の外側を半分削っています
  • AKABU F — 毎日の食卓で飲める日本酒を目指した商品です。「F」は「For you」の略です。1.8リットルの瓶だけで出しています
  • 浜娘 純米酒 — 岩手県内だけで出荷する純米酒です

このほかにも、季節や数量を限った商品があります。種類はラベルの表示でご確認ください。

赤武酒造の「AKABU」は、令和7酒造年度全国新酒鑑評会(酒類総合研究所・日本酒造組合中央会)で金賞を受けています(2026年5月20日発表)。

酒蔵の案内

赤武酒造は、蔵見学を受け付けていません。蔵での小売販売も行っていません(2026年9月30日確認)。

営業日や見学の受け入れは変わることがあります。訪ねる前に蔵の公式情報をご確認ください。

赤武酒造のお酒の買い方

赤武酒造は、公式サイトの「Store」のページで、岩手県内の特約店(蔵と直接取引している酒販店)を公開しています。全国の特約店は、同じページからリンクされている、日本酒と焼酎の蔵元の団体「一般社団法人 J.S.P(Japan Sake Shochu Platform)」のサイトにある赤武酒造のページに一覧があります(50店。2026年9月30日確認)。

下の表は、この2つの一覧から、旅行者が立ち寄りやすい盛岡・仙台・東京・大阪・京都の店を選んだものです。載せていない店もあります。すべての店は蔵の公式一覧とJSPの一覧でご確認ください。

地域 店名 所在地
盛岡 坂本商店 岩手県盛岡市駅前通10-4 Google マップで開く
盛岡 鍵屋 岩手県盛岡市中ノ橋通1-5-25 Google マップで開く
盛岡 吟の酒きぶね 岩手県盛岡市本宮1-7-22 Google マップで開く
盛岡 パルクアベニュー・カワトク 岩手県盛岡市菜園1-10-1 Google マップで開く
盛岡 福来屋酒店 岩手県盛岡市仙北2-2-28 Google マップで開く
仙台 カネタケ青木商店 宮城県仙台市太白区鹿野1-7-16 Google マップで開く
仙台 阿部八酒店 宮城県仙台市青葉区宮町4-5-35 Google マップで開く
東京(有楽町) はせがわ酒店 東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館5階 Google マップで開く
東京(四谷) 鈴傳 東京都新宿区四谷1-10 Google マップで開く
東京(千駄木) 伊勢五本店 東京都文京区千駄木3-3-13 Google マップで開く
東京(台東) ふくはら酒店 東京都台東区台東3-6-8 Google マップで開く
大阪府 酒のやまもと 大阪府枚方市招提中町1-7-7 Google マップで開く
大阪府 今仲酒店 大阪府池田市古江町131-1 Google マップで開く
京都府 酒のきたむら 京都府八幡市八幡柿ケ谷14-111 Google マップで開く

岩手県内では、花巻市・北上市・奥州市・一関市・久慈市・山田町にも特約店があります。

公式のオンラインストア「AKABU Official Store」はグッズ専用で、日本酒は扱っていません。

買うときの注意

  • 取扱いの有無と在庫は店によって違います。一部の商品だけを扱う店もあります。限定品や季節の商品は入荷しないこともあるため、訪ねる前に店へご確認ください。
  • 浜娘は岩手県内だけで出荷しています。
  • ラベルに保存温度の表示がある商品は、その表示に従ってください。
  • 海外へ持ち帰る場合:100mlを超える瓶は、保安検査前の手荷物には入れられません。預け入れ荷物にするか、保安検査後の免税店でお求めください。乗り継ぎがある場合と、到着する国の持ち込み上限は事前にご確認ください。→ 旅のヒント

酒蔵情報

項目 内容
蔵名 赤武酒造株式会社(Akabu Shuzo Co., Ltd.)
創業 1896年(明治29年)、岩手県大槌町で創業
代表者 代表取締役 古舘秀峰
所在地 〒020-0857 岩手県盛岡市北飯岡1丁目8番60号 Google マップで開く
電話 019-681-8895(FAX 019-681-8897)
代表銘柄 AKABU/浜娘(Hamamusume)
公式サイト https://www.akabu1.com/
蔵見学 不可
直売 なし
取扱店の一覧 公式サイト(岩手県内)とJSPのページ(全国50店)で公開(2026年9月30日確認)
英語対応 公表されていません