
こんな人におすすめ
- 秋田県の日本海側で、港町として栄えた古い町並みを歩いてみたい人
- 蔵の直営のショップとカフェで、日本酒と、酒粕(sake lees)や甘酒などの発酵食品に触れてみたい人
- 自然の乳酸菌の力を借りる「山廃(yamahai)」の日本酒に興味がある人
- 蔵の中の見学を旅の目的にしない人(蔵見学を受け付けているかどうかは、訪ねる前に蔵へお問い合わせください)
齋彌酒造店について
齋彌酒造店(Saiya Shuzoten)は、秋田県由利本荘市(Yurihonjo)の石脇(Ishiwaki)という地区にある蔵です。代表銘柄は「雪の茅舎(Yuki no Bosha)」と「由利正宗(Yuri Masamune)」です。
創業は1902年で、初代の齋藤彌太郎が始めました。創業のころから残る住宅・店舗・蔵など11棟が、国の登録有形文化財に登録されています。
同じ石脇地区には、齋彌酒造店が運営する「発酵小路 田屋(Hakko Koji Taya)」があります。日本酒を買え、カフェで食事もできる施設です。蔵の中を見学できるかどうかは、蔵の公式サイトに案内がありません(2026年9月30日確認。下の「酒蔵の案内」)。
北前船の港町・石脇
石脇は、江戸時代には亀田藩(Kameda Domain)の物流の拠点として栄えた地区です。子吉川(Koyoshi River)を下って集められた米や木材が、石脇の港から北前船(kitamae-bune、日本海をめぐった商船)に積まれ、大阪や江戸(いまの東京)へ運ばれました。いまも由利本荘の特産品をつくって売る店が並んでいます。毎年1月中旬には、伝統行事の「新山神社裸参り(Shinzan Jinja Hadaka Mairi)」が開かれます。
齋彌酒造店の敷地では、仕込みに使う水が湧き出しています。
坂を下りながら日本酒になる「のぼり蔵」
齋彌酒造店の蔵は、創業のころから斜面に建っています。敷地の高低差は約6メートルあります。米はまず、いちばん上にある精米所へ運ばれます。そこから酒造りの工程が進むにつれて、米は下へ移っていきます。上へ登った米が、日本酒になって下りてくるつくりです。
このつくりは「のぼり蔵(nobori-gura)」と名付けられています。名付けたのは、東京農業大学教授の小泉武夫博士で、焼き物を焼く「登り窯(nobori-gama)」に似た蔵であることが由来です。
蔵で育てる酵母と、山廃
齋彌酒造店は「お酒は人ではなく、微生物が醸す」という考え方で日本酒をつくっています。そのため、薬剤を使った蔵の中の殺菌を行わず、天井や梁まで掃除をして、蔵に住む微生物のつり合いを整えています。酒造りでは、もろみ(発酵中の日本酒のもと)を棒でかき混ぜる「櫂入れ(kai-ire)」をしないこと、濾過をしないこと、水を加えないことを、方針として挙げています。
蔵では30年以上前から酵母(yeast、発酵を進める微生物)の自家培養に取り組んでおり、長年にわたって選び続けてきた酵母を使っています。酒米(sake rice、日本酒づくりに向く米)は、蔵人と地元の農家が秋田酒こまち(Akita Sake Komachi)を育て、兵庫県西脇市黒田庄(Kurodasho)の契約農家が山田錦(Yamada Nishiki)を育てています。
酒造りの責任者である杜氏(toji)は、高橋藤一さんです。高橋杜氏は、「山廃(yamahai)」を復活させました。山廃は、日本酒の発酵のもとになる「酒母(shubo)」を、乳酸を加えずに、自然の乳酸菌の働きを借りて育てる造り方です。時間と手間がかかります。
代表的な商品を挙げます。
- 雪の茅舎 秘伝山廃 山廃純米吟醸 — 米と米麹と水だけでつくり、米の外側を4割以上削って低温でゆっくり発酵させた「純米吟醸(junmai ginjo)」を、山廃で仕込んだ商品です
- 雪の茅舎 山廃純米 — 米と米麹と水だけでつくる「純米酒(junmai-shu)」を山廃で仕込んだ商品です。温めて飲む燗(kan)にも向く商品として出されています
- 雪の茅舎 山廃 純米大吟醸 — 米と米麹と水だけでつくり、米の外側を半分以上削った「純米大吟醸(junmai daiginjo)」です。黒田庄の山田錦を使い、濾過も加水もしていない原酒です
「雪の茅舎」には、このほかにも多くの商品があります。原料や造りは商品ごとに違うため、種類はラベルの表示でご確認ください。
齋彌酒造店の「雪の茅舎」は、令和7酒造年度全国新酒鑑評会(酒類総合研究所・日本酒造組合中央会)で金賞を受けています(2026年5月20日発表)。
酒蔵の案内
蔵の中を見学できるかどうかは、蔵の公式サイトに案内がありません(2026年9月30日確認)。受け入れの有無は時期によって変わっている可能性があるため、見学を希望する場合は、訪ねる前に蔵へ電話でお問い合わせください(0184-22-0536、平日8時〜17時)。
旅行者が立ち寄れるのは、蔵が運営する「発酵小路 田屋」です。
| 発酵小路 田屋(2026年9月30日確認) | |
|---|---|
| 所在地 | 秋田県由利本荘市石脇字石脇279-1 Google マップで開く |
| 営業時間 | 10:00〜17:00 |
| 定休日 | 毎週木曜日・日曜日。臨時の休業があります |
| ショップ | 「雪の茅舎」の日本酒、蔵の酒粕・甘酒・奈良漬、石脇の味噌・しょうゆ・本荘うどんなど |
| カフェ | 蔵の仕込み水でつくるパンや、酒粕を使うデザートなど。予約はできません |
| 電話 | 0184-74-8207 |
| 英語対応 | 公表されていません |
臨時休業のお知らせは、田屋の公式サイトに出ます。訪ねる前にご確認ください。
営業日や見学の受け入れは変わることがあります。訪ねる前に蔵の公式情報をご確認ください。
齋彌酒造店のお酒の買い方
齋彌酒造店は、取扱店・特約店の一覧を公開していません(2026年9月30日確認)。蔵は、近くの酒販店で買うよう案内しています。蔵からの小売りの発送は行っていません。
発送を希望する場合の問い合わせ先は、直営店の「発酵小路 田屋」です(電話 0184-74-8207、10時〜17時、木曜・日曜定休)。
買うときの注意
- 「雪の茅舎」には複数の商品があり、原料や造り方は商品ごとに違います。種類はラベルの表示でご確認ください。
- 取扱いの有無と在庫は店によって違います。季節の商品(生酒・ひやおろし・新酒など)は、時期によって入れ替わります。
- 田屋のショップでも、時期によって売り切れる商品があります。
- 海外へ持ち帰る場合:100mlを超える瓶は、保安検査前の手荷物には入れられません。預け入れ荷物にするか、保安検査後の免税店でお求めください。乗り継ぎがある場合と、到着する国の持ち込み上限は事前にご確認ください。→ 旅のヒント
酒蔵情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 社名 | 株式会社齋彌酒造店(SAIYA SYUZOTEN Co., Ltd.) |
| 創業 | 1902年(明治35年) |
| 代表者 | 齋藤浩太郎 |
| 所在地 | 〒015-0011 秋田県由利本荘市石脇字石脇53 Google マップで開く |
| 電話 | 0184-22-0536(平日8:00〜17:00)/FAX 0184-24-4558 |
| 代表銘柄 | 雪の茅舎(Yuki no Bosha)/由利正宗(Yuri Masamune) |
| 杜氏 | 高橋藤一 |
| 公式サイト | https://www.yukinobosha.jp/ |
| 蔵見学 | 公式の案内なし。希望する場合は電話で問い合わせ |
| 直営の店 | 発酵小路 田屋(ショップ・カフェ。10:00〜17:00、木・日曜定休) |
| 取扱店の一覧 | 公開されていません(2026年9月30日確認) |
| 英語対応 | 公表されていません |