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産土 — 熊本・和水の田園で、土地の米と井戸水から日本酒を醸す

  • Sake JP 編集部
和水町の小さな川。岸に満開の桜の木が枝を広げ、手前の土手一面に黄色い菜の花が咲いている。奥にコンクリートの橋が架かる
蔵のある和水町(Nagomi)の川沿いに、桜と菜の花が咲いています(2015年3月撮影)。Yuji Sakamoto / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

こんな人におすすめ

  • 熊本県北部の温泉地(山鹿・平山)を旅する途中で、酒蔵のギャラリーに立ち寄りたい人(蔵の中の見学はできません)
  • 土地の米や、昔の品種の米でつくる日本酒に興味がある人
  • 熊本県の中でしか買えない日本酒を探している人
  • 福岡や熊本から車で半日の寄り道をしたい人

花の香酒造について

花の香酒造(Hananoka Shuzo)は、熊本県玉名郡和水町(Nagomi, Tamana District)にある酒蔵です。創業は1902年です。代表銘柄は「産土(Ubusuna)」と「花の香(Hananoka)」の2つです。

蔵の中の見学はできません。そのかわり、蔵に併設されたギャラリー「花回廊(Hanakairou)」は自由に利用でき、一部の商品を買うこともできます(2026年9月30日確認)。

「産土(うぶすな)」は日本に古くから伝わる言葉で、生まれた土地と、その土地の神々を意味します。花の香酒造は、この言葉を自分たちの日本酒づくりの考え方として掲げ、同じ名前を銘柄にしました。現在の当主は6代目の神田清隆(Kanda Kiyotaka)さんです。

蔵の名前は、創業のころ蔵のまわりに漂っていた梅の花の香りにちなんでいます。創業時の社名は「神田酒造」で、1992年に現在の社名に変わりました。

火山の大地と、井戸の水

和水町は熊本県の北西部にある、南北に長い町です。丘に囲まれた盆地に田んぼが広がり、和仁川を含む3つの川が、菊池川(Kikuchi River)に流れ込んでいます。蔵は、この和仁川のそばに建っています。

町は、阿蘇山(Mt. Aso)から約40キロメートル離れています。約9万年前、「阿蘇4」と呼ばれる阿蘇山の大噴火で火砕流(高温の火山灰や岩が流れ下る現象)がこの一帯まで達しました。その堆積物が固まった岩盤は、いまも蔵の横を流れる和仁川の川底に見えています。

蔵の仕込み水は、この岩盤をくりぬいてつくった井戸の水です。もとは神社の井戸でした。創業者の神田角次・茂作の親子は、神社が持っていた田んぼを譲り受け、そこに湧く水とその田の米で日本酒づくりを始めました。わずかにとろみを感じる水で、蔵人は今も井戸の水神に手を合わせる神事を続けています。

土地の米だけでつくる

菊池川の流域は、2,000年にわたって米づくりが続いてきた土地です。2017年には、この流域の米づくりの歴史が文化庁の「日本遺産」に認定されました。江戸時代後期には、この地域の米が「肥後米(Higo-mai)」として船で大阪へ運ばれ、米の市場で高く評価されていました。

花の香酒造は、日本酒づくりに使う米のすべてを、菊池川流域の和水町で育った米でまかなっています。酒米(sake rice、日本酒づくりに向く米)「山田錦(Yamada Nishiki)」も使いますが、それも地元で育てたものです。「産土」に使う米は、農薬も肥料も使わない方法で育てています。苗を1本ずつ手で植える、田を馬で耕すといった昔の農法も取り入れています。

なかでも力を入れているのが、江戸時代の熊本の品種「穂増(Homase)」です。穂増は明治時代の初めに姿を消していましたが、2017年に農家で40粒の種もみが見つかりました。2020年から、地元の農家と蔵の農業部が、農薬も肥料も使わない方法で育てています。同じく熊本の古い品種「香子(Kabashiko)」も、3年をかけて復活させた品種です。

産土と花の香

産土は、蔵の考え方をそのまま名前にしたシリーズです。穂増・香子・山田錦など、米の品種ごとに商品が分かれています。米はすべて和水町産です。一部の商品は、酒母(shubo、発酵のもとになる酵母を育てたもの)を昔のやり方でつくる「生酛(kimoto)」や、木の桶を使って仕込んでいます。酵母は、熊本で生まれた「9号酵母(No. 9 yeast)」を主に使っています。原料や造りは商品ごとに違うため、種類はラベルの表示でご確認ください。

花の香は、熊本の四季を梅・桜・菊の花の香りに重ねたシリーズで、熊本県の中だけで売られています。

  • 花の香 桜花(Ouka) — 米と米麹と水だけでつくり、米の外側を半分以上削った「純米大吟醸(junmai daiginjo)」です。山田錦を使い、手作業で仕込んでいます
  • 花の香 菊花(Kikka) — 米と米麹と水だけでつくり、米の外側を4割以上削って低温でゆっくり発酵させた「純米吟醸(junmai ginjo)」です

酒蔵の案内

蔵の中の見学は受け付けていません(2026年9月30日確認)。旅行者が訪ねられるのは、蔵に併設されたギャラリー「花回廊」です。

花回廊は、明治時代から建つ母屋と酒蔵を、熊本地震で傷んだあとに改装して2019年に開いた施設です。2026年5月30日に設えを新しくして再開しました。

  • 和水町の人々と日本酒づくりを写した、写真家ハービー・山口さんの写真の展示
  • 蔵の名前の由来になった、樹齢180年を超える梅の古木のある庭
  • 「麹の間」では、ふだんは入れない麹室(koji-muro、米麹をつくる部屋)の中を見ることができます
  • 一部の商品を買うことができます(数量に限りがあります)
花回廊(2026年9月30日確認)
営業時間 10:00〜16:00
定休日 公表されていません
食味体験 穂増と香子を炊いたご飯で味わう体験。1日1組(最大4名)、2,000円、予約ページから要予約
英語対応 公表されていません

令和8年熊本地震(2026年)で、蔵と設備に大きな被害はありませんでした(2026年7月30日時点)。

酒蔵祭

蔵は春に酒蔵祭「産土神宴」を開いています。2025年は4月5日・6日、2026年は4月11日・12日に開催が予定されていました。限定の日本酒の販売や、熊本・福岡の飲食店の出店があり、2026年は博多駅・熊本からのバスツアーも組まれていました。次の日程は公式の告知でご確認ください。

行き方

住所:〒861-0906 熊本県玉名郡和水町西吉地2226-2

  • 新幹線(高速鉄道):九州新幹線(Kyushu Shinkansen)の新大牟田(Shin-Omuta)駅から車で約15分、新玉名(Shin-Tamana)駅から車で約30分
  • 車:南関(Nankan)ICから約5分、菊水(Kikusui)ICから約15分。熊本空港・福岡空港からはどちらも約1時間
  • 近くの温泉地から:平山温泉(Hirayama Onsen)から車で約10分、山鹿温泉(Yamaga Onsen)から約20分

所要時間は目安です(2026年9月確認)。列車の時刻はJR九州でご確認ください。車で行く場合は、運転する人は日本酒を飲まないでください。

営業日や見学の受け入れは変わることがあります。訪ねる前に蔵の公式情報をご確認ください。

花の香酒造のお酒の買い方

蔵は通信販売を行っていません。蔵で買えるのは、花回廊で扱っている一部の商品だけです。

「産土」と「花の香」では、扱う店が違います。

  • 産土は、全国の正規販売店が扱っています
  • 花の香は、熊本県内の特約販売店が扱っています。鶴屋百貨店(Tsuruya Department Store、熊本市中央区手取本町6-1)など18店です(2021年12月時点の一覧)

産土を扱う正規販売店

蔵は正規販売店の一覧を公式サイトで公開しています(2025年6月時点の一覧。2026年9月30日確認)。一覧から、旅の途中で寄りやすい店を選んでいます。

地域 店名 所在地
熊本市 いのもと酒店 熊本県熊本市東区帯山4-56-15 Google マップで開く
熊本市 地酒処 たちばな酒店 熊本県熊本市南区田井島3-9-7 Google マップで開く
博多駅 住吉酒販 博多駅店 福岡県福岡市博多区博多駅中央街1-1 JR博多駅 博多デイトス1階 Google マップで開く
福岡市 住吉酒販 博多本店 福岡県福岡市博多区住吉3-8-27 Google マップで開く
東京駅 はせがわ酒店 グランスタ東京店 東京都千代田区丸の内1-9-1 JR東京駅構内 地下1階 Google マップで開く
押上(東京スカイツリー) はせがわ酒店 東京スカイツリー店 東京都墨田区押上1-1-2 東京ソラマチ1階 Google マップで開く
銀座 IMADEYA GINZA 東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 地下2階 Google マップで開く
麻布台 インタートワイン ケーエム 山仁 東京都港区麻布台1-2-4 麻布台ヒルズ マーケット Google マップで開く
大阪 酒楽 掬正 大阪府大阪狭山市金剛1-7-8 Google マップで開く

ほかの店(北海道・東北・関東・東海・中部・九州)は、一覧でご確認ください。一覧には各店の電話番号も載っています。京都府の店と、空港の中の店は載っていません。

買うときの注意

  • 取扱いの有無と在庫は店によって違います。支店の在庫は店へ直接お問い合わせください。限定品や季節の商品は入荷しないこともあります。
  • 令和8年熊本地震の影響で運送会社の集荷・配送が乱れ、蔵からの出荷は運送会社の復旧に合わせて順に行われています(2026年7月30日時点)。店への入荷が遅れることがあります。
  • 海外へ持ち帰る場合:100mlを超える瓶は、保安検査前の手荷物には入れられません。預け入れ荷物にするか、保安検査後の免税店でお求めください。乗り継ぎがある場合と、到着する国の持ち込み上限は事前にご確認ください。→ 旅のヒント

酒蔵情報

項目 内容
蔵名 花の香酒造株式会社(Hananoka Shuzo Co., Ltd.)
創業 1902年(明治35年)
代表者 代表取締役 神田清隆(Kanda Kiyotaka)
所在地 〒861-0906 熊本県玉名郡和水町西吉地2226-2 Google マップで開く
電話 0968-34-2055
代表銘柄 産土(Ubusuna)/花の香(Hananoka)
使用米 菊池川流域・和水町産の米(山田錦・穂増・香子など)
仕込み水 蔵の井戸水
公式サイト https://www.hananoka.co.jp/
蔵見学 不可(併設ギャラリー「花回廊」は利用できます)
直売 花回廊(一部の商品・数量限定)。通信販売はなし
取扱店の一覧 公開あり(産土=全国/花の香=熊本県内)
英語対応 公表されていません