
こんな人におすすめ
- 長崎県を旅して、その土地の米でつくった日本酒を飲んでみたい人
- 酸味と苦味のある、軽やかな日本酒に興味がある人
- 平戸の町歩きの途中で、蔵の直売所に立ち寄りたい人(製造の現場は見学できません)
- 毎月のように出る限定の日本酒を、酒販店で探すのが好きな人
森酒造場について
森酒造場(Mori Shuzojo)は、長崎県平戸市(Hirado)の新町にある蔵です。銘柄は「飛鸞(Hiran)」です。創業は1895年(明治28年)で、森幸吉が「小松屋」という屋号で始めました。
日本酒のほかに、焼酎とリキュールの商品もあります。
製造の現場の見学はできません。蔵の「明治蔵」では、日本酒の説明と販売を行っています(2026年9月30日確認)。
平戸という港町と、「飛鸞」の名前
平戸は、海外との貿易の拠点として栄えた港町です。約400年前の1609年から1641年まで、オランダの商館が置かれていました。
「飛鸞」は、平戸の古い呼び名からとった銘柄名です。海から眺めた平戸の島影が、霊鳥「鸞(ran)」の飛び立つ姿に似ていたことから「飛鸞島」と名付けられ、それが転じて「平戸」になった、という言い伝えがあります。蔵は、平戸の風土を感じられる日本酒をつくるため、この名前を選びました。
森酒造場の主な銘柄は、「菊の露」から「豊年(Hounen)」、そして「飛鸞」へと移り変わってきました。
一度は途絶えかけた蔵
現在、杜氏(toji、日本酒づくりの責任者)を務めているのは、五代目の蔵元の森雄太郎さんです。社長は四代目の森幸雄さんです。
蔵では、前の杜氏が亡くなってから技術者のいない時期が続き、日本酒づくりを続けることが難しくなっていました。森雄太郎さんは修業先から平戸へ戻り、2017年に蔵に入りました。当時の蔵は、地元で飲まれる分を少しつくるだけで、建物も設備も古くなっていました。そのころを、森雄太郎さんはこう振り返っています。
「“これから本当にやっていけるのか”という絶望を感じた」 ——森雄太郎さん(森酒造場 五代目蔵元・杜氏)、森酒造場 公式note「初めての方に読んでほしい『飛鸞の教科書』」(2024年6月16日公開)
蔵はそこから技術を磨き、設備に投資し、デザインにもこだわってきました。飛鸞を扱う酒販店は、2024年6月の時点で60店以上でした。
蔵が掲げる使命は「平戸に賑わいをもたらす」です。
平戸の米と、昔ながらの酒母
森酒造場は、平戸の土地を日本酒で表すことを目指しています。そのために選んでいるのが、地元の米と、昔ながらの製法です。
米。長崎県には、県独自の酒米(sake rice、日本酒づくりに向く米)の品種がありません。そこで飛鸞の多くは、平戸市で育てた「にこまる(Nikomaru)」という米でつくっています。にこまるは長崎県で多く育てられている食用の米で、酒米ではありません。
水。仕込み水は、最教寺という寺のふもとから湧く水です。
製法。日本酒は、酵母を大量に育てた「酒母(shubo)」をもとに発酵させます。飛鸞の多くは、この酒母を、大気中の微生物を生かす、江戸時代から伝わるやり方でつくる「生酛(kimoto)」でつくっています。森雄太郎さんが生酛造りの日本酒を完成させたのは2021年3月22日です。3月22日は「飛鸞の日」とされ、毎年この日に向けて記念の商品が出ます。2025年のその商品には、蔵で長い時間をかけて開発した、蔵にすみつく酵母を使いました。
飛鸞の味わいと、主な商品
蔵がめざしているのは、「杯がどんどん進んでしまう」日本酒です。甘みを土台に、ほどよい酸味と苦味が重なるように設計しています。アルコール度数は13%前後のものが多く、日本酒としては低めです。
主な商品を3つ挙げます。
- HIRAN にこまる — 飛鸞のいちばんの定番で、一年を通して出すようにつくっています。麹(koji、蒸した米に麹菌を育てたもの)に使う米は山田錦(Yamada Nishiki)、ほかの米(掛米)はにこまるです
- HIRAN 神楽(Kagura) — 生酛でつくる純米酒です。純米酒(junmai-shu)は、米と米麹と水だけでつくる日本酒です。酸を多く生む「白麹(shiro koji)」を使っています。名前は、平戸に伝わる神楽からとっています
- 飛鸞 絆(Kizuna) — 平戸産の山田錦だけでつくる、生酛の純米酒です。蔵は「平戸の風土をお酒として表現する」という考えを体現した代表的な商品としています
このほか、飛鸞は毎月のように限定の商品を出しています。原料や造りは商品ごとに違うため、種類はラベルの表示でご確認ください。
酒蔵の案内
森酒造場は、製造の現場(工場の内部)の見学を行っていません(2026年9月30日確認)。
訪ねられるのは、蔵の「明治蔵」です。日本酒の説明を聞き、買うことができます。
| 明治蔵(2026年9月30日確認) | |
|---|---|
| 営業時間 | 9:00〜17:00 |
| 定休日 | 不定期 |
| 扱っているもの | 蔵でしか売らない「蔵限定」の日本酒だけです。酒販店に並ぶ飛鸞は扱っていません |
| 電話 | 0950-23-3131 |
蔵開き
森酒造場は、春に「蔵開き(kurabiraki、蔵を一般に開くお祭り)」を開いています。直近の開催は2026年5月30日・31日でした。蔵開きだけの限定酒の販売や、有料の試飲がありました。次の日程は、蔵の公式サイトと公式LINEでご確認ください。
行き方
住所:〒859-5115 長崎県平戸市新町31-2
蔵は、平戸城(Hirado Castle)や平戸市役所に近い、平戸港の南側の町なかにあります。
- 福岡から車で:唐津(Karatsu)を経由する道で約2時間10分、高速道路(九州自動車道・長崎自動車道・西九州自動車道)を使う道で約2時間15分です(目安)
- バス・鉄道:平戸までの路線は、平戸観光協会の交通案内でご確認ください。本数の少ない路線もあるため、往路と復路の最終便まで確かめておくと安心です
車で行く場合は、飲酒運転にならないようご注意ください。
営業日や見学の受け入れは変わることがあります。訪ねる前に蔵の公式情報をご確認ください。
森酒造場のお酒の買い方
森酒造場は、取扱店の一覧を公式サイトで公開していません(2026年9月30日確認)。飛鸞を扱う店は、蔵の公式LINEで案内しているほか、公式サイトのお問い合わせでも受け付けています。
蔵で買う場合と、オンラインで買う場合は次のとおりです。
- 明治蔵:蔵限定の日本酒だけを売っています。酒販店向けの飛鸞は、近くの取扱店で買うよう蔵は案内しています
- 公式オンラインショップ:森酒造場のオンラインショップは、日本国内への配送だけです。2026年9月30日の確認時点で、日本酒は「フィランド(Firando)」だけを扱っていました。フィランドは、平戸の春日の棚田で育った米でつくる、アルコール度数9%前後の純米酒です
- 長崎県内だけで売る商品:「飛鸞 Classic」は、長崎県内の店だけで扱う商品です
買うときの注意
- 飛鸞には季節ごと・月ごとの限定品が多く、同じ商品がいつも店にあるとは限りません。訪ねる前に店へご確認ください。
- ラベルに保存温度の表示がある商品は、その表示に従ってください。
- 海外へ持ち帰る場合:100mlを超える瓶は、保安検査前の手荷物には入れられません。預け入れ荷物にするか、保安検査後の免税店でお求めください。乗り継ぎがある場合と、到着する国の持ち込み上限は事前にご確認ください。→ 旅のヒント
酒蔵情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 蔵名 | 有限会社森酒造場(Mori Shuzojo Co., Ltd.) |
| 創業 | 1895年(明治28年) |
| 代表者 | 代表取締役社長 森幸雄 |
| 杜氏 | 森雄太郎(五代目蔵元) |
| 所在地 | 〒859-5115 長崎県平戸市新町31-2 Google マップで開く |
| 電話 | 0950-23-3131(FAX 0950-22-4174) |
| 代表銘柄 | 飛鸞(Hiran) |
| 仕込み水 | 最教寺のふもとから湧く水 |
| 公式サイト | https://mori-shuzou.jp/ |
| 蔵見学 | 不可(製造の現場の見学は行っていません) |
| 直売 | あり(明治蔵。蔵限定の日本酒のみ) |
| 取扱店の一覧 | 公式サイトでは公開されていません。公式LINE・お問い合わせで案内(2026年9月30日確認) |
| 英語対応 | 公表されていません |