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飛鸞 — 港町・平戸の米と水で、昔ながらの酒母から醸す日本酒

  • Sake JP 編集部
平戸城の高台から見下ろした平戸港。曇り空の下、入り江を囲むように町並みが続き、港には白い船が停まっている。手前は木々の茂る斜面
平戸城の高台から見た平戸港です。森酒造場は、この港の南側の町なかにあります。さかおり / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

こんな人におすすめ

  • 長崎県を旅して、その土地の米でつくった日本酒を飲んでみたい人
  • 酸味と苦味のある、軽やかな日本酒に興味がある人
  • 平戸の町歩きの途中で、蔵の直売所に立ち寄りたい人(製造の現場は見学できません)
  • 毎月のように出る限定の日本酒を、酒販店で探すのが好きな人

森酒造場について

森酒造場(Mori Shuzojo)は、長崎県平戸市(Hirado)の新町にある蔵です。銘柄は「飛鸞(Hiran)」です。創業は1895年(明治28年)で、森幸吉が「小松屋」という屋号で始めました。

日本酒のほかに、焼酎とリキュールの商品もあります。

製造の現場の見学はできません。蔵の「明治蔵」では、日本酒の説明と販売を行っています(2026年9月30日確認)。

平戸という港町と、「飛鸞」の名前

平戸は、海外との貿易の拠点として栄えた港町です。約400年前の1609年から1641年まで、オランダの商館が置かれていました。

「飛鸞」は、平戸の古い呼び名からとった銘柄名です。海から眺めた平戸の島影が、霊鳥「鸞(ran)」の飛び立つ姿に似ていたことから「飛鸞島」と名付けられ、それが転じて「平戸」になった、という言い伝えがあります。蔵は、平戸の風土を感じられる日本酒をつくるため、この名前を選びました。

森酒造場の主な銘柄は、「菊の露」から「豊年(Hounen)」、そして「飛鸞」へと移り変わってきました。

一度は途絶えかけた蔵

現在、杜氏(toji、日本酒づくりの責任者)を務めているのは、五代目の蔵元の森雄太郎さんです。社長は四代目の森幸雄さんです。

蔵では、前の杜氏が亡くなってから技術者のいない時期が続き、日本酒づくりを続けることが難しくなっていました。森雄太郎さんは修業先から平戸へ戻り、2017年に蔵に入りました。当時の蔵は、地元で飲まれる分を少しつくるだけで、建物も設備も古くなっていました。そのころを、森雄太郎さんはこう振り返っています。

「“これから本当にやっていけるのか”という絶望を感じた」 ——森雄太郎さん(森酒造場 五代目蔵元・杜氏)、森酒造場 公式note「初めての方に読んでほしい『飛鸞の教科書』」(2024年6月16日公開)

蔵はそこから技術を磨き、設備に投資し、デザインにもこだわってきました。飛鸞を扱う酒販店は、2024年6月の時点で60店以上でした。

蔵が掲げる使命は「平戸に賑わいをもたらす」です。

平戸の米と、昔ながらの酒母

森酒造場は、平戸の土地を日本酒で表すことを目指しています。そのために選んでいるのが、地元の米と、昔ながらの製法です。

米。長崎県には、県独自の酒米(sake rice、日本酒づくりに向く米)の品種がありません。そこで飛鸞の多くは、平戸市で育てた「にこまる(Nikomaru)」という米でつくっています。にこまるは長崎県で多く育てられている食用の米で、酒米ではありません。

水。仕込み水は、最教寺という寺のふもとから湧く水です。

製法。日本酒は、酵母を大量に育てた「酒母(shubo)」をもとに発酵させます。飛鸞の多くは、この酒母を、大気中の微生物を生かす、江戸時代から伝わるやり方でつくる「生酛(kimoto)」でつくっています。森雄太郎さんが生酛造りの日本酒を完成させたのは2021年3月22日です。3月22日は「飛鸞の日」とされ、毎年この日に向けて記念の商品が出ます。2025年のその商品には、蔵で長い時間をかけて開発した、蔵にすみつく酵母を使いました。

飛鸞の味わいと、主な商品

蔵がめざしているのは、「杯がどんどん進んでしまう」日本酒です。甘みを土台に、ほどよい酸味と苦味が重なるように設計しています。アルコール度数は13%前後のものが多く、日本酒としては低めです。

主な商品を3つ挙げます。

  • HIRAN にこまる — 飛鸞のいちばんの定番で、一年を通して出すようにつくっています。麹(koji、蒸した米に麹菌を育てたもの)に使う米は山田錦(Yamada Nishiki)、ほかの米(掛米)はにこまるです
  • HIRAN 神楽(Kagura) — 生酛でつくる純米酒です。純米酒(junmai-shu)は、米と米麹と水だけでつくる日本酒です。酸を多く生む「白麹(shiro koji)」を使っています。名前は、平戸に伝わる神楽からとっています
  • 飛鸞 絆(Kizuna) — 平戸産の山田錦だけでつくる、生酛の純米酒です。蔵は「平戸の風土をお酒として表現する」という考えを体現した代表的な商品としています

このほか、飛鸞は毎月のように限定の商品を出しています。原料や造りは商品ごとに違うため、種類はラベルの表示でご確認ください。

酒蔵の案内

森酒造場は、製造の現場(工場の内部)の見学を行っていません(2026年9月30日確認)。

訪ねられるのは、蔵の「明治蔵」です。日本酒の説明を聞き、買うことができます。

明治蔵(2026年9月30日確認)
営業時間 9:00〜17:00
定休日 不定期
扱っているもの 蔵でしか売らない「蔵限定」の日本酒だけです。酒販店に並ぶ飛鸞は扱っていません
電話 0950-23-3131

蔵開き

森酒造場は、春に「蔵開き(kurabiraki、蔵を一般に開くお祭り)」を開いています。直近の開催は2026年5月30日・31日でした。蔵開きだけの限定酒の販売や、有料の試飲がありました。次の日程は、蔵の公式サイトと公式LINEでご確認ください。

行き方

住所:〒859-5115 長崎県平戸市新町31-2

蔵は、平戸城(Hirado Castle)や平戸市役所に近い、平戸港の南側の町なかにあります。

  • 福岡から車で:唐津(Karatsu)を経由する道で約2時間10分、高速道路(九州自動車道・長崎自動車道・西九州自動車道)を使う道で約2時間15分です(目安)
  • バス・鉄道:平戸までの路線は、平戸観光協会の交通案内でご確認ください。本数の少ない路線もあるため、往路と復路の最終便まで確かめておくと安心です

車で行く場合は、飲酒運転にならないようご注意ください。

営業日や見学の受け入れは変わることがあります。訪ねる前に蔵の公式情報をご確認ください。

森酒造場のお酒の買い方

森酒造場は、取扱店の一覧を公式サイトで公開していません(2026年9月30日確認)。飛鸞を扱う店は、蔵の公式LINEで案内しているほか、公式サイトのお問い合わせでも受け付けています。

蔵で買う場合と、オンラインで買う場合は次のとおりです。

  • 明治蔵:蔵限定の日本酒だけを売っています。酒販店向けの飛鸞は、近くの取扱店で買うよう蔵は案内しています
  • 公式オンラインショップ:森酒造場のオンラインショップは、日本国内への配送だけです。2026年9月30日の確認時点で、日本酒は「フィランド(Firando)」だけを扱っていました。フィランドは、平戸の春日の棚田で育った米でつくる、アルコール度数9%前後の純米酒です
  • 長崎県内だけで売る商品:「飛鸞 Classic」は、長崎県内の店だけで扱う商品です

買うときの注意

  • 飛鸞には季節ごと・月ごとの限定品が多く、同じ商品がいつも店にあるとは限りません。訪ねる前に店へご確認ください。
  • ラベルに保存温度の表示がある商品は、その表示に従ってください。
  • 海外へ持ち帰る場合:100mlを超える瓶は、保安検査前の手荷物には入れられません。預け入れ荷物にするか、保安検査後の免税店でお求めください。乗り継ぎがある場合と、到着する国の持ち込み上限は事前にご確認ください。→ 旅のヒント

酒蔵情報

項目 内容
蔵名 有限会社森酒造場(Mori Shuzojo Co., Ltd.)
創業 1895年(明治28年)
代表者 代表取締役社長 森幸雄
杜氏 森雄太郎(五代目蔵元)
所在地 〒859-5115 長崎県平戸市新町31-2 Google マップで開く
電話 0950-23-3131(FAX 0950-22-4174)
代表銘柄 飛鸞(Hiran)
仕込み水 最教寺のふもとから湧く水
公式サイト https://mori-shuzou.jp/
蔵見学 不可(製造の現場の見学は行っていません)
直売 あり(明治蔵。蔵限定の日本酒のみ)
取扱店の一覧 公式サイトでは公開されていません。公式LINE・お問い合わせで案内(2026年9月30日確認)
英語対応 公表されていません