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Tottori

鳥取県

南部町の田と大山。手前にススキが穂を出し、実った稲と刈り取りを終えた田の向こうに集落が並び、その奥に大山がそびえる
南部町の田と、遠くにそびえる大山。実りの時期を迎えた田が、山のふもとまで広がります(10月)。Raita Futo / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

鳥取県の日本酒

鳥取県は、北は日本海に面し、南には大山をはじめとする中国山地が東西に約100km連なる、海と山に挟まれた細長い県です。2024年7月から2025年6月までの1年間に、県内の11か所で日本酒がつくられました。2025年10月には、日本酒の産地名を守る制度(地理的表示)に「鳥取」が指定されました。対象は、鳥取県で収穫した米と県内で採った水だけを使い、米と米麹と水だけでつくる日本酒(純米酒)です。その条件は、総じて口当たりが柔らかく、ふくよかな米の旨味を引き出していることです。キレがありながら米の旨味をしっかり感じられ、温めると旨さが際立つ日本酒も多くあります。

この味わいを支えるのが、水と冬の気候です。冬には、シベリアからの冷たく乾いた季節風が日本海で水分を含み、中国山地を上るときに雨や雪を降らせます。ブナやミズナラの森を含む大地に降った雨や雪は、火山の噴出物でできた地層でろ過され、軟らかく清らかな伏流水(地下にしみこんで流れる水)や地下水になります。適度にミネラルを含んだこの軟水が、鳥取の日本酒の口当たりの柔らかさを生んでいます。冬は雲に覆われる日が多いため夜の冷え込みが厳しくなく、昼と夜の気温の差が小さいことも、もろみ(発酵中の日本酒のもと)の発酵を管理しやすくしています。

鳥取で純米酒づくりが広がるきっかけは、1967年にありました。元広島国税局の鑑定官で、県の研究機関で酒類を担当した上原浩が、米と水で造るという日本酒の原点に立ち返ることを県内の蔵に提案し、これに賛同した蔵が、米をよく削って低い温度で発酵させる純米酒づくりに、県内で戦後初めて取り組みました。その輪は少しずつ広がり、1980年代の前半ごろには、ほとんどの蔵で純米酒が造られるようになりました。米では、鳥取の在来品種で、日本酒造りに向いた米(酒造好適米)の「強力(ごうりき)」が使われています。大粒で、米の中心に白く見える部分「心白(しんぱく)」をもつ品種です。1921年から1945年まで県の奨励品種でしたが、背が高く倒れやすいため一時姿を消しました。1989年に、鳥取大学に保存されていたわずかな種もみから復活し、今では県内の多くの蔵が使っています。

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