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新政 — 秋田の町なかで、生酛と木桶の純米の日本酒をつくる

  • Sake JP 編集部
晴れた日の新政酒造の建物。白い壁の蔵の軒下に茶色い杉玉が下がり、右手に木造の建物が続く。手前は道路と低い塀で、電線と電柱が写る
秋田市大町(Omachi)にある新政酒造の本社の建物です(2013年撮影)。軒下に杉玉(sugidama、杉の葉を束ねて球にしたもの)が下がっています。掬茶 / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

こんな人におすすめ

  • 秋田県で育てた米だけでつくる日本酒を、旅先の酒販店や飲食店で探してみたい人
  • 昔からの製法「生酛」や、木桶で仕込む日本酒に興味がある人
  • 蔵を訪ねるのではなく、飲むこと・探すことを旅の楽しみにできる人(新政酒造は見学の受け入れを公表しておらず、蔵での直接の販売も行っていません)

新政酒造について

新政酒造(Aramasa Shuzo)は、秋田県秋田市(Akita)の大町(Omachi)にある蔵です。創業は1852年です。銘柄は会社名と同じ「新政(Aramasa)」で、その中に「No.6」「Colors」などのシリーズがあります。

新政酒造の日本酒は、次の決まりに沿ってつくられています。

  • 原料の米は、秋田県で育てた米だけを使います
  • すべての日本酒を、醸造アルコールを加えない純米でつくります
  • 酒母(shubo、発酵のもとになる酵母を大量に育てたもの)は、「生酛」という昔からの方法だけでつくります
  • 培養した酵母を使うときは、「きょうかい6号」という酵母だけを使います

蔵見学の受け入れは公表されていません。蔵では日本酒を直接販売していません(2026年9月30日確認)。

6号酵母が採られた蔵

新政酒造を始めたのは、初代の佐藤卯兵衛(Sato Uhee)です。「新政」という銘柄名は、明治政府が掲げた「新政厚徳(しんせいこうとく)」という言葉から取られています。

大正時代、4代目の佐藤佐吉は、息子の卯三郎を大阪高等工業学校(現在の大阪大学工学部)に進ませ、醸造を学ばせました。卯三郎は蔵に戻ると自ら日本酒づくりの指揮をとり、のちに5代目の佐藤卯兵衛となります。

1930年、この蔵のもろみ(moromi、発酵中の、搾る前の日本酒)から、優れた酵母(koubo、糖をアルコールに変える微生物)が採られました。これが「きょうかい6号」です。「きょうかい」の名は、酵母を培養して販売する日本醸造協会から来ています。新政酒造は今も、培養した酵母としてはこの6号だけを使っています。

第二次世界大戦のあと、蔵は大きな火事にあい、廃業の寸前まで追い込まれたこともあります。その後も、日本酒づくりは創業の地で続いてきました。

2008年からの造りで、社員が日本酒をつくる体制に移りました。そこから数年のうちに、使う酵母を6号の系統だけにし、原料の米を秋田県産だけにし、すべての商品を純米に切り替えました。2015年からの造りでは、酒母をすべて生酛でつくるようになっています。

生酛と木桶、秋田の田んぼ

生酛(kimoto)は、酒母の中で乳酸菌を育て、その乳酸で雑菌を防ぐつくり方です。材料をすり潰す「山卸し(yama-oroshi)」という作業を行います。新政酒造は、乳酸菌も培養したものを加えず、仕込みの中に自然に入ってくる乳酸菌で酒母を立てています。

新政酒造は、酒税法でラベルへの表示が求められていない添加物も使いません。酸味を補う酸類、麹の代わりになる酵素剤、発酵を助ける無機塩類やビタミン類などです。

仕込みには木桶(kioke、木でつくった仕込みの桶)を多く使っています。「Colors」のシリーズは、すべて木桶で仕込んでいます。

原料の米の一部は、蔵が自ら育てています。秋田市河辺(Kawabe)の鵜養(Uyashinai)地区の田んぼでは、農薬を使わない栽培を進めています。

ラベルの表示にも、この蔵ならではの点があります。純米の日本酒は、主に米をどれだけ削ったかによって「純米吟醸」「純米大吟醸」などと表示を変えられます。しかし新政酒造は、米をどれだけ削っていても、表示する特定名称(国の基準で決められた日本酒の種類の名前)をすべて、米と米麹と水だけでつくる「純米酒(junmai-shu)」にそろえています。精米歩合(削ったあとに残った米の割合)だけで日本酒の価値が決まるわけではない、という考えからです。

「No.6」と「Colors」

  • No.6 — 新政酒造の定番の生酒(namazake、一度も火入れ〈加熱殺菌〉をしていない日本酒)です。6号酵母の個性を伝えることを目的にしたシリーズです。生酒は味が変わりやすいため、ふつうは冬から春の寒い時期にしか出荷されません。No.6は、蔵の中でマイナス5度以下で貯蔵し、蔵が選んだ専門の酒販店だけで売ることで、一年を通して出荷しています。米の品種は決まっておらず、秋田県産の米を使います
  • Colors — 火入れをしたシリーズです。商品ごとに1種類の酒米(sakamai、日本酒づくりに向く米)を使い、その米の個性を伝えることを目的にしています

どちらのシリーズにも複数の商品があり、原料や造りは商品ごとに違います。種類はラベルの表示でご確認ください。

新政酒造は、ほとんどの商品を720ミリリットルの瓶で出しています。日本酒は空気に触れないように保管する必要があり、とくに生酒などは開けたあと早めに飲みきるのがよい、という品質管理の考えからです。

酒蔵の案内

新政酒造は、蔵見学の受け入れを公表していません。蔵では日本酒を直接販売していません(2026年9月30日確認)。

秋田県内で酒蔵を訪ねたい場合は、秋田県観光連盟の酒蔵見学の一覧が参考になります。見学や「蔵開放」を行う秋田県内の蔵が載っています(2026年9月30日確認)。予約が必要な蔵や、見学の日時が限られる蔵もあるため、各蔵にご確認ください。

営業日や見学の受け入れは変わることがあります。訪ねる前に蔵の公式情報をご確認ください。

新政酒造のお酒の買い方

新政酒造は、取扱店・特約店の一覧を公開していません(2026年9月30日確認)。蔵の公式オンラインショップもありません。

蔵に電話で問い合わせると、近くの特約酒販店(蔵と直接取引している酒販店)を紹介してもらえます。電話番号は 018-823-6407 です。

買うときの注意

  • No.6は生酒です。蔵は、開ける前も開けたあとも必ず冷蔵庫で保管し、出荷した月から3か月以内に飲みきるよう勧めています。旅行中に常温で長く持ち歩くのは避けてください。
  • ほかの商品も、ラベルに保存温度の表示があるものは、その表示に従ってください。
  • 取扱いの有無と在庫は店によって違います。訪ねる前に店へご確認ください。
  • 海外へ持ち帰る場合:100mlを超える瓶は、保安検査前の手荷物には入れられません。預け入れ荷物にするか、保安検査後の免税店でお求めください。乗り継ぎがある場合と、到着する国の持ち込み上限は事前にご確認ください。→ 旅のヒント

酒蔵情報

項目 内容
蔵名 新政酒造株式会社(Aramasa Co., Ltd.)
創業 1852年(嘉永5年)
代表者 代表取締役会長 佐藤卯兵衛/代表取締役社長 佐藤祐輔
所在地 〒010-0921 秋田県秋田市大町6丁目2番35号 Google マップで開く
電話 018-823-6407(FAX 018-864-4407)
代表銘柄 新政(Aramasa)
公式サイト http://www.aramasa.jp/
蔵見学 公表されていません
直売 なし
取扱店の一覧 公開されていません。電話で特約酒販店を紹介(2026年9月30日確認)
英語対応 公表されていません