コンテンツへスキップ

手取川 — 白山のふもと、田んぼの真ん中で「手取酒」を受け継ぐ蔵

  • Sake JP 編集部
白山市の手取峡谷。緑の木々に覆われた岩の絶壁のあいだを青緑色の手取川が流れ、奥の崖から綿ヶ滝が落ちている。手前の川原には丸い石が並ぶ
白山市を流れる手取川の手取峡谷と、綿ヶ滝(Watagataki)です。藤谷良秀 / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

こんな人におすすめ

  • 金沢(Kanazawa)や白山市を旅する途中で、蔵の店に寄って日本酒を買いたい人(吉田酒造店は蔵見学を受け付けていません)
  • 蔵のまわりの田んぼで育った米と、その土地の水でつくる日本酒に興味がある人
  • 石川県で開発された酒米(sake rice、日本酒づくりに向く米)の日本酒を飲んでみたい人
  • 石川県内でしか扱っていない商品を、旅の記念に探したい人

吉田酒造店について

吉田酒造店(Yoshida Shuzoten)は、石川県白山市(Hakusan)の安吉町(Yasuyoshimachi)にある酒蔵です。創業は1870年(明治3年)で、2020年に150周年を迎えました。銘柄は「手取川(Tedorigawa)」と「吉田蔵u(Yoshidagura u)」の2つです。

蔵見学はできません。見学のための設備が整っていないためです。蔵の店で日本酒を買うことはできます(2026年9月30日確認)。

2024年の能登半島地震では、白山市も揺れました。蔵に大きな被害はなく、社員も無事でした。

白山の水と、手取川扇状地

白山市には、霊峰・白山(Hakusan)から流れ出る手取川(Tedori River)が流れています。川の上流には、高さ20〜30メートルの絶壁が約8キロメートル続く手取峡谷(Tedori Gorge)があります。「白山手取川ジオパーク(Hakusan Tedorigawa Geopark)」は、2023年5月24日にユネスコ世界ジオパークに認定されました。

手取川の下流には、川が運んだ土砂がつくった手取川扇状地(Tedorigawa alluvial fan)があります。流れてきた水が地下にしみ込み、あちこちで伏流水(地下を流れる水)として湧き出すため、白山市には伏流水が豊富です。吉田酒造店は、この扇状地のほぼ中央の、田んぼが広がる穀倉地帯にあります。

仕込み水は手取川の伏流水で、蔵はこの水を「白山百年水」と呼んでいます。中くらいの硬さの「中硬水」です。

「酒造りの村」山島の日本酒を受け継ぐ蔵

蔵のあるあたりは、かつて「山島村(Yamashima)」と呼ばれました。明治・大正の時代には多くの酒蔵がある「酒造りの村」で、ここでつくられた日本酒は「手取酒」「山島酒」と呼ばれていました。いま「手取酒」を受け継いでいるのは、吉田酒造店だけです。

初代の吉田与三右衛門が1870年に日本酒づくりを始め、銘柄を「手取川正宗」としました。1955年に銘柄を「翁の友」に改め、1981年に「手取川正宗」を復活させています。1997年には「吉田蔵」シリーズの製造を始めました。

7代目の吉田泰之(Yoshida Yasuyuki)さんは、山形県の出羽桜酒造で2年間修業しました。2017年から杜氏(toji、日本酒づくりの責任者)を務め、2020年に社長に就いています。蔵の日本酒づくりと蔵人(kurabito、蔵で働く職人)の暮らしを3年間撮影したドキュメンタリー映画「The Birth of Sake」は、2015年に上映されました。

蔵のまわりの田んぼから

吉田酒造店は、酒米を契約農家に育ててもらっています。蔵人は春から夏にかけて農家のもとで米づくりを教わり、稲刈りには蔵人全員で参加しています。2014年には、地元の米・水・環境で日本酒をつくることをめざして、「山島の郷酒米振興会」を結成しました。

使う酒米は、五百万石(Gohyakumangoku)、石川門(Ishikawamon)、百万石乃白、山田錦(Yamada Nishiki)の4品種です。石川門と百万石乃白は、石川県で開発された酒米です。百万石乃白は、開発に11年をかけ、2020年から使われるようになりました。

「吉田蔵u」や「手取川 純米大吟醸 本流」には、金沢国税局で育種された「金沢酵母」を蔵で培養して使っています。酵母(yeast)は、糖をアルコールに変える微生物です。

手取川と吉田蔵u

「手取川」には多くの商品があり、原料や造りは商品ごとに違います。種類はラベルの表示でご確認ください。ここでは3つを挙げます。価格は蔵の商品一覧の税込み表示です(2026年9月30日確認)。

  • 手取川 山廃仕込 純米酒 — 米と米麹と水だけでつくる「純米酒(junmai-shu)」です。山廃(yamahai)は、自然界にいる乳酸菌の力を借りて日本酒をつくる方法で、能登杜氏(能登半島出身の杜氏の集団)が得意としてきた技法です。720mlで1,760円です
  • 手取川 純米大吟醸 本流 — 米と米麹と水だけでつくり、米の外側を半分以上削った「純米大吟醸(junmai daiginjo)」です。酒米は山田錦です。香りは落ち着いた蜂蜜のようで、料理の味を邪魔しません。720mlで2,640円です
  • 手取川 山廃純米吟醸 — 米と米麹と水だけでつくり、米の外側を4割以上削って低温でゆっくり発酵させた「純米吟醸(junmai ginjo)」を、山廃でつくった商品です。石川県内でしか扱っていない商品です。720mlで2,310円です

「吉田蔵u」は、2021年11月1日に始まった銘柄です。蔵のまわりの契約農家が育てた石川県の酒米と、白山百年水、蔵で培養した金沢酵母でつくっています。山廃を蔵で独自に研究した「モダン山廃」でつくり、乳酸や酵素剤などの表示義務のない添加物は使っていません。どの商品も、ろ過をせず水も加えない「無濾過原酒」で、アルコール度数は13%以下と低めです。720mlで1,980円からです。

蔵は手取川について「料理より一歩引いたところで、酒の有る楽しい食生活を演出できる酒を目指します」と掲げています(吉田酒造店 公式サイトより)。

酒蔵の案内

吉田酒造店は、蔵見学を受け付けていません。見学のための設備が整っていないためです(2026年9月30日確認)。

蔵の店では日本酒を販売しています。試飲ができるかどうかは、訪ねる前に蔵にご確認ください。

営業時間 9:00〜17:00
定休日 日曜日・祝日

営業時間と定休日は2026年9月30日に確認した情報です。訪ねる前に、蔵へ電話(076-276-3311)でご確認ください。

行き方

住所:〒924-0843 石川県白山市安吉町41

  • 車:白山(Hakusan)ICから、国道157号を南へ約20分です

所要時間は2026年9月時点の目安です。

周辺

手取峡谷と綿ヶ滝は、同じ白山市の山あいにあります。綿ヶ滝は高さ32メートルの滝で、駐車場から遊歩道を150メートルほど歩くと、峡谷と滝を見られる展望台があります。滝のそばへ下りる階段は約130段あり、急で滑りやすい場所があります。冬は雪のため駐車場に入れないことがあります。

営業日や見学の受け入れは変わることがあります。訪ねる前に蔵の公式情報をご確認ください。

吉田酒造店のお酒の買い方

吉田酒造店は、国内の取扱店の一覧を公開していません(2026年9月30日確認)。公式サイトにオンラインショップはありません。近くの取扱店は、蔵に問い合わせると紹介してもらえます。問い合わせは電話(076-276-3311)、FAX(076-276-3378)、公式サイトの問い合わせフォームで受け付けています。

いちばん確かな買い方は、蔵の店を訪ねることです(営業時間は「酒蔵の案内」をご覧ください)。

海外では、アメリカ・イギリス・スペイン・イタリア・ドイツ・カナダ・シンガポール・タイ(バンコク)・台湾・香港・中国の取扱先を、蔵が公式サイトで公開しています。

買うときの注意

  • 取扱いの有無と在庫は店によって違います。限定品や季節の商品は入荷しないこともあるため、訪ねる前に店へご確認ください。
  • 「手取川 山廃純米吟醸」は石川県内限定の商品です。
  • 生酒(加熱処理をしていない日本酒)の商品は、開ける前でも冷蔵庫で保管してください。
  • 海外へ持ち帰る場合:100mlを超える瓶は、保安検査前の手荷物には入れられません。預け入れ荷物にするか、保安検査後の免税店でお求めください。乗り継ぎがある場合と、到着する国の持ち込み上限は事前にご確認ください。→ 旅のヒント

酒蔵情報

項目 内容
蔵名 株式会社吉田酒造店(Yoshida Shuzoten Co., Ltd.)
創業 1870年(明治3年)
代表者 代表取締役社長 吉田泰之
所在地 〒924-0843 石川県白山市安吉町41 Google マップで開く
電話 076-276-3311(FAX 076-276-3378)
代表銘柄 手取川(Tedorigawa)/吉田蔵u(Yoshidagura u)
仕込み水 手取川の伏流水(蔵の呼び名は「白山百年水」。中硬水)
公式サイト https://tedorigawa.com/
蔵見学 不可(見学設備がないため)
直売 蔵の店で販売(9:00〜17:00、日曜・祝日休み。2026年9月30日確認)
取扱店の一覧 国内は公開されていません(2026年9月30日確認)。海外の取扱先は公開
英語対応 公式サイトに英語ページあり。蔵での英語対応は公表されていません