
こんな人におすすめ
- 金沢(Kanazawa)や白山市を旅する途中で、蔵の店に寄って日本酒を買いたい人(吉田酒造店は蔵見学を受け付けていません)
- 蔵のまわりの田んぼで育った米と、その土地の水でつくる日本酒に興味がある人
- 石川県で開発された酒米(sake rice、日本酒づくりに向く米)の日本酒を飲んでみたい人
- 石川県内でしか扱っていない商品を、旅の記念に探したい人
吉田酒造店について
吉田酒造店(Yoshida Shuzoten)は、石川県白山市(Hakusan)の安吉町(Yasuyoshimachi)にある酒蔵です。創業は1870年(明治3年)で、2020年に150周年を迎えました。銘柄は「手取川(Tedorigawa)」と「吉田蔵u(Yoshidagura u)」の2つです。
蔵見学はできません。見学のための設備が整っていないためです。蔵の店で日本酒を買うことはできます(2026年9月30日確認)。
2024年の能登半島地震では、白山市も揺れました。蔵に大きな被害はなく、社員も無事でした。
白山の水と、手取川扇状地
白山市には、霊峰・白山(Hakusan)から流れ出る手取川(Tedori River)が流れています。川の上流には、高さ20〜30メートルの絶壁が約8キロメートル続く手取峡谷(Tedori Gorge)があります。「白山手取川ジオパーク(Hakusan Tedorigawa Geopark)」は、2023年5月24日にユネスコ世界ジオパークに認定されました。
手取川の下流には、川が運んだ土砂がつくった手取川扇状地(Tedorigawa alluvial fan)があります。流れてきた水が地下にしみ込み、あちこちで伏流水(地下を流れる水)として湧き出すため、白山市には伏流水が豊富です。吉田酒造店は、この扇状地のほぼ中央の、田んぼが広がる穀倉地帯にあります。
仕込み水は手取川の伏流水で、蔵はこの水を「白山百年水」と呼んでいます。中くらいの硬さの「中硬水」です。
「酒造りの村」山島の日本酒を受け継ぐ蔵
蔵のあるあたりは、かつて「山島村(Yamashima)」と呼ばれました。明治・大正の時代には多くの酒蔵がある「酒造りの村」で、ここでつくられた日本酒は「手取酒」「山島酒」と呼ばれていました。いま「手取酒」を受け継いでいるのは、吉田酒造店だけです。
初代の吉田与三右衛門が1870年に日本酒づくりを始め、銘柄を「手取川正宗」としました。1955年に銘柄を「翁の友」に改め、1981年に「手取川正宗」を復活させています。1997年には「吉田蔵」シリーズの製造を始めました。
7代目の吉田泰之(Yoshida Yasuyuki)さんは、山形県の出羽桜酒造で2年間修業しました。2017年から杜氏(toji、日本酒づくりの責任者)を務め、2020年に社長に就いています。蔵の日本酒づくりと蔵人(kurabito、蔵で働く職人)の暮らしを3年間撮影したドキュメンタリー映画「The Birth of Sake」は、2015年に上映されました。
蔵のまわりの田んぼから
吉田酒造店は、酒米を契約農家に育ててもらっています。蔵人は春から夏にかけて農家のもとで米づくりを教わり、稲刈りには蔵人全員で参加しています。2014年には、地元の米・水・環境で日本酒をつくることをめざして、「山島の郷酒米振興会」を結成しました。
使う酒米は、五百万石(Gohyakumangoku)、石川門(Ishikawamon)、百万石乃白、山田錦(Yamada Nishiki)の4品種です。石川門と百万石乃白は、石川県で開発された酒米です。百万石乃白は、開発に11年をかけ、2020年から使われるようになりました。
「吉田蔵u」や「手取川 純米大吟醸 本流」には、金沢国税局で育種された「金沢酵母」を蔵で培養して使っています。酵母(yeast)は、糖をアルコールに変える微生物です。
手取川と吉田蔵u
「手取川」には多くの商品があり、原料や造りは商品ごとに違います。種類はラベルの表示でご確認ください。ここでは3つを挙げます。価格は蔵の商品一覧の税込み表示です(2026年9月30日確認)。
- 手取川 山廃仕込 純米酒 — 米と米麹と水だけでつくる「純米酒(junmai-shu)」です。山廃(yamahai)は、自然界にいる乳酸菌の力を借りて日本酒をつくる方法で、能登杜氏(能登半島出身の杜氏の集団)が得意としてきた技法です。720mlで1,760円です
- 手取川 純米大吟醸 本流 — 米と米麹と水だけでつくり、米の外側を半分以上削った「純米大吟醸(junmai daiginjo)」です。酒米は山田錦です。香りは落ち着いた蜂蜜のようで、料理の味を邪魔しません。720mlで2,640円です
- 手取川 山廃純米吟醸 — 米と米麹と水だけでつくり、米の外側を4割以上削って低温でゆっくり発酵させた「純米吟醸(junmai ginjo)」を、山廃でつくった商品です。石川県内でしか扱っていない商品です。720mlで2,310円です
「吉田蔵u」は、2021年11月1日に始まった銘柄です。蔵のまわりの契約農家が育てた石川県の酒米と、白山百年水、蔵で培養した金沢酵母でつくっています。山廃を蔵で独自に研究した「モダン山廃」でつくり、乳酸や酵素剤などの表示義務のない添加物は使っていません。どの商品も、ろ過をせず水も加えない「無濾過原酒」で、アルコール度数は13%以下と低めです。720mlで1,980円からです。
蔵は手取川について「料理より一歩引いたところで、酒の有る楽しい食生活を演出できる酒を目指します」と掲げています(吉田酒造店 公式サイトより)。
酒蔵の案内
吉田酒造店は、蔵見学を受け付けていません。見学のための設備が整っていないためです(2026年9月30日確認)。
蔵の店では日本酒を販売しています。試飲ができるかどうかは、訪ねる前に蔵にご確認ください。
| 営業時間 | 9:00〜17:00 |
| 定休日 | 日曜日・祝日 |
営業時間と定休日は2026年9月30日に確認した情報です。訪ねる前に、蔵へ電話(076-276-3311)でご確認ください。
行き方
住所:〒924-0843 石川県白山市安吉町41
- 車:白山(Hakusan)ICから、国道157号を南へ約20分です
所要時間は2026年9月時点の目安です。
周辺
手取峡谷と綿ヶ滝は、同じ白山市の山あいにあります。綿ヶ滝は高さ32メートルの滝で、駐車場から遊歩道を150メートルほど歩くと、峡谷と滝を見られる展望台があります。滝のそばへ下りる階段は約130段あり、急で滑りやすい場所があります。冬は雪のため駐車場に入れないことがあります。
営業日や見学の受け入れは変わることがあります。訪ねる前に蔵の公式情報をご確認ください。
吉田酒造店のお酒の買い方
吉田酒造店は、国内の取扱店の一覧を公開していません(2026年9月30日確認)。公式サイトにオンラインショップはありません。近くの取扱店は、蔵に問い合わせると紹介してもらえます。問い合わせは電話(076-276-3311)、FAX(076-276-3378)、公式サイトの問い合わせフォームで受け付けています。
いちばん確かな買い方は、蔵の店を訪ねることです(営業時間は「酒蔵の案内」をご覧ください)。
海外では、アメリカ・イギリス・スペイン・イタリア・ドイツ・カナダ・シンガポール・タイ(バンコク)・台湾・香港・中国の取扱先を、蔵が公式サイトで公開しています。
買うときの注意
- 取扱いの有無と在庫は店によって違います。限定品や季節の商品は入荷しないこともあるため、訪ねる前に店へご確認ください。
- 「手取川 山廃純米吟醸」は石川県内限定の商品です。
- 生酒(加熱処理をしていない日本酒)の商品は、開ける前でも冷蔵庫で保管してください。
- 海外へ持ち帰る場合:100mlを超える瓶は、保安検査前の手荷物には入れられません。預け入れ荷物にするか、保安検査後の免税店でお求めください。乗り継ぎがある場合と、到着する国の持ち込み上限は事前にご確認ください。→ 旅のヒント
酒蔵情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 蔵名 | 株式会社吉田酒造店(Yoshida Shuzoten Co., Ltd.) |
| 創業 | 1870年(明治3年) |
| 代表者 | 代表取締役社長 吉田泰之 |
| 所在地 | 〒924-0843 石川県白山市安吉町41 Google マップで開く |
| 電話 | 076-276-3311(FAX 076-276-3378) |
| 代表銘柄 | 手取川(Tedorigawa)/吉田蔵u(Yoshidagura u) |
| 仕込み水 | 手取川の伏流水(蔵の呼び名は「白山百年水」。中硬水) |
| 公式サイト | https://tedorigawa.com/ |
| 蔵見学 | 不可(見学設備がないため) |
| 直売 | 蔵の店で販売(9:00〜17:00、日曜・祝日休み。2026年9月30日確認) |
| 取扱店の一覧 | 国内は公開されていません(2026年9月30日確認)。海外の取扱先は公開 |
| 英語対応 | 公式サイトに英語ページあり。蔵での英語対応は公表されていません |