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寿司と日本酒——寿司店で日本酒を選ぶ手がかりと、頼み方

  • Sake JP 編集部

寿司(sushi)と一緒に飲むものとして昔から親しまれてきたのは、熱い緑茶です。寿司店の多くは、日本酒を含むさまざまな飲み物も用意しています。回転寿司(kaitenzushi)の店では、飲み物は緑茶・ビール・手頃な日本酒が中心です。

「寿司に合う日本酒」は、1本に決まるものではありません。同じ寿司店でも、ネタ(neta、ごはんの上にのせる魚などの具)によって合わせやすい日本酒が変わります。この記事では、日本酒を選ぶときの手がかりと、寿司店での頼み方、飲むときのマナーをまとめます。

日本酒が魚と合わせやすい理由

日本酒には、米のたんぱく質から生まれたアミノ酸が多く含まれています。いちばん多いのはグルタミン酸で、旨味(umami)のもとになる成分です。魚にも、イノシン酸などの旨味の成分があります。日本酒と魚を一緒に口に入れると、2つの旨味が重なり、味に深みが出ます。

もうひとつの理由は、日本酒に鉄や二酸化硫黄がほとんど含まれていないことです。この2つは魚の脂と反応して、生臭いにおいや味を生みます。日本酒は、魚の好ましくない部分を目立たせにくい飲み物です。

日本酒には、ひと口ごとに口の中をさっぱりさせ、次のひと口を迎えやすくする働きもあります。

味と香りで分ける4つのタイプ

日本酒は、香りの高さと味の濃さで、4つのタイプに分けることができます。タイプごとに、合わせやすい料理と、飲むのに向く温度があります。寿司店で出る料理に近いものを例に挙げると、次のとおりです。

タイプ 香りと味 合わせやすい料理 向く温度
フルーティなタイプ 果物や花のような華やかな香り。甘さと丸みが程よく、さわやかな酸味と釣り合っています 魚介や山菜の味を活かした料理。白身魚の塩焼き、昆布ではさんで味を移した白身魚(kobujime)など 10〜16℃
軽快でなめらかなタイプ 穏やかで控えめな香り。すっきりとして、口当たりが軽い味わいです あっさりして、後味が軽い料理。刺身(sashimi)、だし巻き玉子など 6〜10℃
コクのあるタイプ 木や乳製品を思わせる香り。甘味・酸味・心地よい苦味があり、ふくよかな味わいです 鶏肉や豚肉などの旨味を生かした料理。サバの味噌煮など 10〜45℃
熟成タイプ スパイスやドライフルーツのような力強い香り。とろりとした甘みと、まろやかな酸味があります 旨味の強い、たんぱく質の多い料理。鰻(unagi)の蒲焼きなど 7〜25℃

店の品書きに、このタイプの名前が書かれているとは限りません。注文するときは、飲みたいタイプを店の人に伝えて選んでもらうのが確実です。「香りが華やかな日本酒」「すっきりした日本酒」のように伝えれば、店の人が品書きの中から選べます。

ネタの味の濃さに合わせる

日本酒と料理を合わせるときの基本は、味の強さをそろえることです。味の濃い日本酒には味の濃い料理を、繊細な日本酒には繊細な料理を合わせます。

寿司のネタに当てはめると、次のようになります。

  • 味の繊細な白身魚(shiromi)には、軽い味わいの日本酒を合わせます。日本酒が魚の味を引き出し、繊細さを消しません
  • サーモン(salmon)のように味の濃い魚には、コクのある日本酒を合わせます。魚の濃さと日本酒の味が釣り合います

温度も手がかりになります。冷たい料理には冷やした日本酒を、温かい料理には温めた日本酒を合わせるのが、組み合わせ方の基本のひとつです。

そのほかに、海沿いの蔵の日本酒は魚介に、内陸の蔵の日本酒は土地でとれる野菜や山の食材に合わせる、という選び方もあります。

寿司店での頼み方

量は「一合」で頼む

多くの店では、日本酒を「合(go)」の単位で頼みます。一合(ichi-go)は180mlで、二合(ni-go)はその2倍です。四角い木の器、升(masu)の多くは、一合が入る大きさです。

日本酒は、徳利(tokkuri)という小さな瓶に入って出てきて、猪口(ochoko)という小さな杯に注いで飲みます。升の中にグラスを置き、あふれるまで注ぐ店もあります。器の種類は日本酒の器で紹介しています。

温度の言い方

伝える言葉 意味
冷酒(reishu) 冷やした日本酒
冷や(hiya) 常温(20℃くらい)の日本酒
燗(kan)/熱燗(atsukan) 温めた日本酒。熱燗は50℃くらい

「冷や」は冷やした日本酒ではなく、常温の日本酒を指します。冷たい日本酒を飲みたいときは「冷酒」と伝えます。温度の呼び名は燗酒と冷酒で詳しく紹介しています。

冷やして飲むのに向く日本酒には、吟醸(ginjo)や生酒(namazake)があります。吟醸は、米の外側を4割以上削り、少量の醸造アルコールを加えた日本酒です。生酒は、加熱殺菌をしていない日本酒です。日本酒の種類は日本酒の種類にまとめています。

「辛口」の意味

品書きやラベルには「辛口(karakuchi)」「甘口(amakuchi)」と書かれていることがあります。日本酒の「辛口」は、唐辛子のような辛さではなく、甘さが少ないことを指します。英語の dry にあたります。読み方は甘口と辛口で紹介しています。

蔵が寿司を挙げている銘柄

蔵が自分で、寿司を挙げている銘柄もあります。

  • 菊正宗(Kiku-Masamune):兵庫県神戸市の菊正宗酒造は、甘さを残さない「辛口」を造り続けてきた蔵です。そば・刺身・寿司のような料理と一緒に飲み続けられる日本酒を目指しています。→ 菊正宗の蔵の記事
  • 獺祭(Dassai):山口県岩国市の株式会社獺祭がつくる日本酒で、居酒屋や寿司店、割烹(kappo、和食の料理店)などで出されています。蔵がすすめる温度は10〜12℃です。→ 獺祭とは

寿司と一緒に飲むときのマナー

日本では、気軽な席で日本酒を飲むときに厳しい決まりはありません。そのうえで、知っておくと役に立つことがあります。

  • 何人かで飲むときは、ほかの人の猪口が空きそうになったら、声をかけて注ぎます。徳利は利き手で首のあたりを持ち、もう片方の手を底に添えます
  • 注いでもらうときは、猪口を親指・人差し指・中指で持ち、もう片方の手を下に添えます
  • 乾杯(kampai)は「杯を干す」という意味ですが、一度に飲み干す必要はありません。自分のペースで飲んでかまいません
  • 日本酒のアルコール分は、平均で15%くらいです。合間に水を飲むと、飲みすぎを防げます
  • 寿司に醤油をつけるときは、ごはんではなくネタの側をつけます
  • 寿司に添えて出る生姜(gari)は、寿司と寿司の間に口の中をさっぱりさせるためのものです。寿司にのせて食べるものではありません

日本では、20歳未満の人の飲酒は法律で禁じられています。店で年齢の確認を求められることもあります。日本酒を飲んだあとは、車だけでなく自転車も運転しないでください。