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醸し人九平次 — 名古屋・大高の古い酒蔵が、米を育てるところから日本酒をつくる

  • Sake JP 編集部
名古屋市緑区大高町の萬乗醸造。晴れた空の下、黒い板壁と瓦屋根の建物が道沿いに並び、左手にれんが造りの煙突が立つ。右手の建物の前には緑色のケースが積まれている
名古屋市緑区大高町にある萬乗醸造の建物です(2023年5月撮影)。Tomio344456 / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

こんな人におすすめ

  • 名古屋に滞在しながら、市内にある古い酒蔵の町並みを外から眺めてみたい人(萬乗醸造は蔵見学を受け付けていません)
  • 酒米(sake rice、日本酒づくりに向く米)の産地や収穫年の違いで日本酒を選んでみたい人
  • ワインを飲み慣れていて、酸味のある日本酒に興味がある人

萬乗醸造について

萬乗醸造(Banjo Jozo)は、愛知県名古屋市緑区(Midori Ward)の大高(Odaka)という町にある酒蔵です。1647年から日本酒をつくっています。銘柄は「醸し人九平次(Kamoshibito Kuheiji)」です。

蔵見学は受け付けていません。蔵での直売もしていません(2026年9月30日確認)。醸し人九平次は、取扱店と、蔵の公式オンラインショップで扱っています。

蔵は日本酒のほかに、兵庫県の黒田庄(Kurodasho)と岡山県で酒米を育て、フランスのブルゴーニュ地方ではワインもつくっています。

酒蔵が残る町、大高

大高は、名古屋市緑区にある古い町です。江戸時代には、日本酒づくりのための株(営業の権利)の制度のもとで酒蔵が増え、明治18年(1885年)には9軒の酒蔵がありました。いまは萬乗醸造を含めて3軒の酒蔵が残っています。

萬乗醸造の主屋(母屋)や、日本酒を仕込む蔵、井戸などの建物は、2007年に国の登録有形文化財(保存と活用のために国が登録する歴史的な建物)になりました。通りに面して建つ主屋は、黒い漆喰塗りの壁の木造2階建てです。蔵の敷地の南には、6本の井戸(外井戸)もあります。

大高には、熱田神宮(Atsuta Jingu)の摂社(本社と深い関係のある神社)である氷上姉子神社(Hikami Anego Jinja)や、1938年に国の史跡になった大高城跡もあります。氷上姉子神社の境内には、医薬と日本酒づくりの神をまつる末社(小さな社)があります。

田んぼから始める日本酒

「九平治」という名前は、代々の当主が受け継いでいます。醸し人九平次は、15代目の当主が、日本酒に新しい価値をつくろうとして生んだ銘柄です。醸し人九平次は、パリでお披露目され、フランス料理のシェフやソムリエに向けて紹介されました。

そのシェフやソムリエたちが最初に尋ねたのは、米のことでした。蔵は、自分たちで米を育てていないことを後ろめたく感じ、2010年から兵庫県の黒田庄で山田錦(Yamada Nishiki)を育て始めました。2014年からは、岡山県赤磐(Akaiwa)でも雄町(Omachi)を育てています。赤磐には蔵のスタッフが移り住み、雄町の専業農家と一緒に米をつくっています。

蔵は、黒田庄の自社の田んぼの中に、新しい醸造所「Domaine Kurodashō」を設けました。田んぼと蔵を直接つなぐことを目指した醸造所です。

蔵は、同じ品種の米でも、田んぼや収穫の年ごとに中身が違うと考えています。そのため、醸し人九平次の商品には、米を収穫した年(ビンテージ)を記しています。

酸味を背骨にした醸し人九平次

醸し人九平次は、苦味・渋味・酸味をあえて大切にしています。蔵は、そのなかで酸味をこう位置づけています。

中でも「酸」は、人間に例えるなら「背骨」です。 ——萬乗醸造 公式サイト「醸し人九平次」より

蔵が求めているのは、熟した果実のような味わいと、気品・優しさ・懐かしさです。

蔵の公式オンラインショップから、使う米の違う商品を挙げます。価格はショップの表示です(2026年9月30日確認)。精米歩合(seimai buai)は、削ったあとに残った米の割合です。

  • 醸し人九平次 human(ヒューマン) — 兵庫県産の山田錦を使っています。720mlで3,300円
  • 醸し人九平次 彼の地(Kanochi) — 兵庫県産の山田錦を使い、精米歩合は40%(米の外側を6割削っています)。720mlで4,400円。蔵は、5℃での保管を勧めています
  • 醸し人九平次 協田(Kyoden) — 岡山県で蔵が育てている雄町を使い、精米歩合は40%です。720mlで5,500円
  • 醸し人九平次 彼の岸(Hinokishi) — 蔵が「フラッグシップ」と呼ぶ商品です。黒田庄産の山田錦だけを使い、水は愛知県北東部の山中(標高700m)で蔵が汲んだ天然水だけを使っています。720mlで16,500円

醸し人九平次には、このほかにも多くの商品があります。米や造りは商品ごとに違うため、種類はラベルの表示でご確認ください。

ブルゴーニュのワイン

蔵は2016年から、フランス・ブルゴーニュ地方で「DOMAINE KUHEIJI」としてワインをつくっています。醸造所はモレ・サン・ドニ(Morey-Saint-Denis)にあり、最初のワインは2020年4月に発売されました。フランスのカマルグ(Camargue)で育てた米を使った日本酒「カマルグに生まれて、」もあります。

酒蔵の案内

萬乗醸造は、蔵見学を受け付けていません。蔵での直売もしていません(2026年9月30日確認)。

主屋は通りに面して建っているため、町を歩くときに外観を見ることはできます。蔵の敷地には入らないでください。

営業日や見学の受け入れは変わることがあります。訪ねる前に蔵の公式情報をご確認ください。

萬乗醸造のお酒の買い方

萬乗醸造は、取扱店の一覧を公開していません(2026年9月30日確認)。近くの取扱店を知りたい場合は、蔵の問い合わせフォームに、希望する地域と買い方を書いて送ると、紹介してもらえます。英語の問い合わせフォームもあります。

蔵の公式オンラインショップ「LA CAVE de Kuheiji」もあります。配送は日本国内だけで、海外への配送の注文は取り消されます(2026年9月30日確認)。4月から11月は、冷蔵便での配送になります。1人2本までの商品もあります。

買うときの注意

  • 取扱いの有無と在庫は店によって違います。小さな蔵のため、品切れになる商品もあります。訪ねる前に店へご確認ください。
  • 醸し人九平次には多くの商品があり、米や造りは商品ごとに違います。種類と米の収穫年は、ラベルの表示でご確認ください。
  • 海外へ持ち帰る場合:100mlを超える瓶は、保安検査前の手荷物には入れられません。預け入れ荷物にするか、保安検査後の免税店でお求めください。乗り継ぎがある場合と、到着する国の持ち込み上限は事前にご確認ください。→ 旅のヒント

酒蔵情報

項目 内容
蔵名 株式会社萬乗醸造(Banjo Jozo Co., Ltd.)
創業 1647年
所在地 〒459-8001 愛知県名古屋市緑区大高町字西門田41番地 Google マップで開く
電話 052-621-2185
代表銘柄 醸し人九平次(Kamoshibito Kuheiji)
公式サイト https://kuheiji.co.jp/ (英語・フランス語・中国語のページあり)
蔵見学 不可
直売 なし
取扱店の一覧 公開されていません。問い合わせると紹介あり(2026年9月30日確認)
公式オンラインショップ あり(日本国内への配送のみ)
英語対応 公式サイトに英語ページと英語の問い合わせフォームあり