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羽根屋 — 立山連峰の水が流れる富山市で、大吟醸と同じ手間を日々の日本酒にかける蔵

  • Sake JP 編集部
富山市の常願寺川の河口。手前に砂浜と川の水面、その先に低い家並みが続き、奥に雪をかぶった立山連峰の山々が青空の下に連なる
富山市を流れる常願寺川の河口と、立山連峰です。ネプチューン / Public domain (PD-self) / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

こんな人におすすめ

  • 富山を旅する途中で、地元の日本酒を飲食店や酒販店で探してみたい人(富美菊酒造は、一般向けの蔵見学を休んでいます)
  • 生酒(加熱処理をしていない日本酒)のみずみずしさを試してみたい人
  • 富山湾の魚介と一緒に、その土地の日本酒を飲んでみたい人
  • 同じ銘柄で、季節ごとに違う限定品を探すのが好きな人

富美菊酒造について

富美菊酒造(Fumigiku Shuzo)は、富山県富山市(Toyama)にある小さな酒蔵です。創業は1916年で、2016年に100周年を迎えました。銘柄は「羽根屋(Haneya)」と「富美菊(Fumigiku)」の2つです。羽根屋は、全国に向けて数量を限ってつくる銘柄で、この記事も羽根屋を中心に紹介します。

一般向けの蔵見学は、休止しています(2026年9月30日確認)。蔵での販売については「酒蔵の案内」をご覧ください。

羽根屋は、令和7酒造年度全国新酒鑑評会(酒類総合研究所・日本酒造組合中央会)で金賞を受けています(2026年5月20日発表)。インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)2026のSAKE部門では、「羽根屋 DIAMOND 雄町8% 無濾過生原酒」が「Nama Trophy(生トロフィー)」を受けています。

立山連峰から流れてくる水

富山県は、立山連峰(Tateyama Mountains)の標高2,000メートル以上の山々から流れ出る伏流水に恵まれた県です。県内の4か所が「名水百選」に選ばれています。

富美菊酒造が仕込みに使うのは、立山連峰を源とする常願寺川(Joganji River)水系の天然水です。蔵は、富山の水と富山県産の酒米で、富山の地酒らしさを表すことを目標に掲げています。看板商品の「煌火(Kirabi)」と「翼(Tsubasa)」には、富山県産の五百万石(Gohyakumangoku)を使っています。富山県産の山田錦(Yamada Nishiki)である「越中山田錦」や、富山県産の酒米「富の香(Tomi no Kaori)」を使った商品もあります。

日々の日本酒に、大吟醸と同じ手間を

いまの蔵元(蔵の経営者)は羽根敬喜(Hane Keiki)さんです。東京の大手発酵メーカーで働いたあと、家業を継ぐために富山へ戻りました。当時、蔵の日本酒づくりは、鑑評会で多くの賞を受けてきたベテランの杜氏(toji、日本酒づくりの責任者)が担っていました。

鑑評会に出すための日本酒と、店で売る日本酒とでは、造り方が大きく違うのが一般的でした。羽根さんはそこに疑問を持ち、「全ての酒を、大吟醸と同じ造りでつくる」(富美菊酒造 公式サイト「ブランドストーリー」より)と決めます。大吟醸(daiginjo)は、米の外側を半分以上削り、少量の醸造アルコールを加えた日本酒です。最初に取り入れたのは、大吟醸と同じ手間のかかる「限定吸水」という、米に水を吸わせる方法でした。杜氏は強く反対しましたが、羽根さんは自分で蔵に入って日本酒づくりを行い、杜氏を説得しました。やがて羽根さんは杜氏の仕事をすべて引き継ぎ、いまは蔵元と杜氏を兼ねる「蔵元杜氏」として、地元の蔵人(kurabito、蔵で働く職人)と日本酒をつくっています。

羽根屋という名前は、羽根家に古くから伝わる屋号(家や店の呼び名)です。蔵は、この銘柄にこめた願いを次のように書いています。

翼が飛翔するが如く、呑む人の心が浮き立つような日本酒として存在したい ——富美菊酒造 公式サイト「ブランドストーリー」より

手間をかける工程

蔵がふだんの日本酒にもかけている手間は、次の4つです。

  • 限定吸水:米を水に浸す時間を短くして、米が水を吸いすぎないようにする方法です。吟醸酒をつくるときによく使われます。蔵は米をざるに小分けし、秒単位で吸水を調整しています。普通酒(特定名称を名乗らない日本酒)以外の、すべての日本酒で行っています
  • 箱麹・蓋麹:麹(koji、蒸した米に麹菌を育てたもの)をつくるとき、蒸した米を「麹蓋」という容器や、それを大きくした「麹箱」に小分けして盛る方法です。麹蓋を使う方法は、吟醸造りでよく使われます。羽根屋の麹はすべてこの方法でつくり、蔵元杜氏が昼も夜も麹の世話をしています
  • 中汲み(中取り):もろみ(mash、発酵中の日本酒のもと)を搾ってできる日本酒のうち、中間の部分を「中汲み(nakagumi)」と呼びます。羽根屋には、この中汲みだけを使っています
  • 瓶囲い:すべての商品を、瓶に詰めた状態で保管しています。普通酒以外は冷蔵室で保管しています

羽根屋は、冬だけでなく一年を通して日本酒を仕込む「四季醸造(shiki jozo)」を始めました。手間のかかる造り方のため、つくる量を増やすことはできず、数量に限りのある商品になっています。

羽根屋の日本酒

羽根屋には多くの商品があります。蔵の商品一覧から、種類の違う3つを挙げます(2026年9月30日確認)。

  • 羽根屋 純吟 煌火 生原酒 — 蔵の看板商品です。米と米麹と水だけでつくり、米の外側を4割以上削って低温でゆっくり発酵させた「純米吟醸(junmai ginjo)」です。加熱処理をしていない生酒(namazake)で、水を加えてアルコール分を調整していない「原酒(genshu)」でもあります。アルコール度数は16度です
  • 羽根屋 純米大吟醸50 翼 — 米と米麹と水だけでつくり、米の外側を半分以上削った「純米大吟醸(junmai daiginjo)」です。これも生酒です。蔵は、富山湾でとれた魚の刺身と合わせることを勧めています
  • 羽根屋 特別純米酒 瓶燗火入れ — 米と米麹と水だけでつくり、米の外側を4割以上削った「特別純米酒(tokubetsu junmai-shu)」です。瓶に詰めてから1本ずつ加熱処理(火入れ)をしています

このほか、季節ごとの限定品も出ています。たとえば「羽根屋 純米吟醸ひやおろし」は、冬に仕込んで夏を越させた数量限定の商品で、2026年は8月29日に発売が告知されました。原料や造りは商品ごとに違うため、種類はラベルの表示でご確認ください。

富美菊酒造がつくる、もうひとつの銘柄「富美菊」にも、大吟醸・吟醸・純米吟醸・特別純米の商品があります。

酒蔵の案内

富美菊酒造は、一般向けの蔵見学を休止しています(2026年9月30日確認)。蔵は公式サイトで次のように書いています。

一般の方の蔵見学はお休みさせていただいております。 ——富美菊酒造 公式サイトより

蔵での販売:蔵では羽根屋の販売を扱っています。受付は平日の9:00〜12:00と13:00〜17:00で、土曜・日曜・祝日は休みです。駐車場は8台分あり、無料です(2026年9月30日確認)。蔵の公式サイトには販売についての案内がないため、訪ねる前に電話(076-441-9594)かメール(info@fumigiku.co.jp)で、販売の有無と在庫を確かめてください。20歳未満の人は買えません。

行き方

住所:〒930-2214 富山県富山市百塚134-3

  • 車:JR富山駅から約10分、北陸自動車道の富山ICから約20分

所要時間は2026年9月時点の目安です。

営業日や見学の受け入れは変わることがあります。訪ねる前に蔵の公式情報をご確認ください。

富美菊酒造のお酒の買い方

蔵は、羽根屋を扱う特約店(蔵と特約を結んだ酒販店)の一覧を公開していません(2026年9月30日確認)。蔵の公式オンラインショップも見つかりません。

蔵は2026年7月、日本名門酒会の加盟店だけで売る限定商品を出し、その納品先の店の一覧をお知らせのページに載せています。ただしこの一覧は、その商品の納品先であって、全国の羽根屋の特約店をすべて並べたものではありません。そのため、この記事では店を挙げていません。

富山で探すなら、上に書いた蔵での販売が、蔵の近くでの手がかりになります。近くの取扱店は、蔵に問い合わせてください。

買うときの注意

  • 羽根屋には多くの商品があり、原料や造りは商品ごとに違います。種類はラベルの表示でご確認ください。
  • 取扱いの有無と在庫は店によって違います。限定品や季節の商品は入荷しないこともあるため、訪ねる前に店へご確認ください。
  • 生酒は加熱処理をしていない日本酒です。ラベルに保存温度の表示がある商品は、その表示に従ってください。
  • 海外へ持ち帰る場合:100mlを超える瓶は、保安検査前の手荷物には入れられません。預け入れ荷物にするか、保安検査後の免税店でお求めください。乗り継ぎがある場合と、到着する国の持ち込み上限は事前にご確認ください。→ 旅のヒント

酒蔵情報

項目 内容
蔵名 富美菊酒造株式会社(Fumigiku Shuzo Co., Ltd.)
創業 1916年(大正5年)
代表者 羽根敬喜(蔵元杜氏)
所在地 〒930-2214 富山県富山市百塚134-3 Google マップで開く
電話 076-441-9594(FAX 076-442-6048)
メール info@fumigiku.co.jp
代表銘柄 羽根屋(Haneya)/富美菊(Fumigiku)
仕込み水 立山連峰を源とする常願寺川水系の天然水
公式サイト https://fumigiku.co.jp/
蔵見学 休止中(一般向け)
蔵での販売 あり(平日9:00〜12:00・13:00〜17:00、土日祝休み。事前の確認を推奨)
取扱店の一覧 公開されていません(2026年9月30日確認)
英語対応 公式サイトの英語版(fumigiku.com)は2026年9月30日にエラーで表示されませんでした。蔵での英語対応は公表されていません